中国で大学院生が激増
修了者数が大卒生の数を上回っている都市も

 北京市教育委員会の調査によると、同市内にある大学(院含む)における今年度の新卒予定者数合計約29.6万人のうち16万人余りを大学院修了者が占めることになった。つまり、院修了者の数が4年制大学本科の卒業生(以下、本科生)を3万人も上回ることになるという。

 なぜそこまで大学院生が増えたのかというと、近年続いている、大卒者の就職困難が最大の理由だ。

 特に過去3年間のパンデミックによって経済が激しく停滞し、就職氷河期に突入した。加えて中米関係の悪化や米国による経済封鎖も大きな影響を与えており、昨年の求職期には16~24歳の若年者失業率が19%を突破した。この激しい求職競争を前に、多くの新卒者が大学院への進学を選択。表向きは「もっと高いスキル(と学歴)を付けて高みを狙う」という建前だったが、現実には「就活先送り」であり、また当然ながら同じように考えた人たちは多かった。

 その結果、昨年大学院に進学した人は前年比5.6%増の124万人余りとなり、全国の院生総数は前年比9.64%増の365万人余りまで膨れ上がった。このため、院関係者の間では「学問が目的ではなく、就職難回避目的の院生をどう扱えば良いのか」という戸惑いも起きていた。

 報道によると、院の修了者数が本科卒業生を上回るという傾向はすでに昨年から北京以外の都市でも起きていた。例えば、南京大学では昨年の新卒者のうち本科卒業生はわずか33%余り、また西安交通大学でも約54%を院修了者が占めるという事態となったという。

 そして、今年6月には若年層の失業率はすでに昨年を上回り、過去最高の20.8%に達しているとする報告も行われた。今夏の新卒者総数も1158万人と昨年よりさらに80万人余り増える見込みで、昨年を大きく上回る激しい就職戦線が今まさに展開されているところだ。