中国の若者たちの間で、過酷な競争社会を生き抜くことを諦め、最低限の生活を送ることを志す「寝そべり主義」が流行している。中国では格差が拡大し、厳しい受験戦争に打ち勝ったとしても、就職や都会での生活に苦戦する人が少なくない。若者たちの間で広がる静かな抵抗と、その裏側にある厳しい競争社会について見ていこう。(日中福祉プランニング代表 王 青)
中国の若者の未来を左右する大学入試
過酷な高校生活に脱落する生徒も
6月下旬、中国で全国統一大学入試(通称「高考」)の成績が発表された。この試験は、中国の若者の未来を大きく左右する。中国の多くの大学では、基本的に大学ごとの試験は行われず、この1発勝負で合否が決まるからだ。
ゆえに、高い点数を獲得し、家族と抱き合ってうれし涙を流す人もいれば、普段は成績が良かったのに今回に限って失敗し、一人で部屋に閉じこもって泣いている人も……。まるで天国と地獄。試験後になると、SNSではそうしたいろいろな人間模様が話題となる。今年もまた、12年間命懸けで勉強してきた結果が発表され、数多くの若者の運命が分かれたといっても過言ではない。
中国の受験は、日本と比較にならないくらい厳しく壮絶である。経済の急速な発展が、社会競争を激化させ、貧富の差がどんどん拡大した。競争に打ち勝つために、良い大学に入り、良い会社に就職し、高い収入や安定した生活を手に入るのが人生の目標となった。