韓国で外国人労働者を見かけない理由

 サービス業を中心に人手不足にあえいでいるのは韓国も同じであり、求人アプリを見れば募集は多々ある。それでも、アプリで「外国人可能」というキーワードを入力して求人の検索をしてみると、ヒットするのは物流センターや、工事・建設現場、工場、清掃業や食堂の厨房など、肉体労働や裏方的な仕事が多いことが分かる。

 また、引っ越し会社で「弊社では外国人スタッフはいません」ということをあえてアピールしているところがあったという話を聞き、複雑な気持ちになると同時に韓国社会の閉鎖的な雰囲気も感じたのであった。

 韓国における外国人労働者は、2022年現在45万人(前年比16.3%増)である。過去3年間のコロナ禍によって、外国人労働者の入国が停滞したため、外国人労働者に依存している建築現場など、肉体労働の職種は人手不足の深刻な影響が出ていた。そして、やっとコロナ禍が一段落した今、韓国に入国する外国人労働者は再び増加傾向にあるといわれている。

 人手不足ではあっても、人目につき、接客を必要とするような業種では、外国人労働者を雇用することを避ける雇用主が多く、接客を必要としない重労働的な業種には外国人が重宝されているというのが韓国の現状である。

 外国人の増加に伴い、韓国では「多文化」という言葉が定着した。外国や外国人、外国文化を理解する教育や取り組みが行われているものの、実際にはまだまだ外国人に対する偏見は強いという印象を受ける。