新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングスの「損害保険」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
損害保険3社が
23年3月期通期で増収減益だが…
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の損害保険業界の3社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(3社の対象期間はいずれも23年1~3月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・東京海上ホールディングス
増収率:マイナス3.7%(四半期の経常収益1兆4366億円)
・SOMPOホールディングス
増収率:マイナス9.2%(四半期の経常収益9174億円)
・MS&ADインシュアランスグループホールディングス
増収率:マイナス11.6%(四半期の経常収益1兆2316億円)
損害保険業界の主要3社はいずれも前年同期比で減収となっていて、中でもMS&ADインシュアランスグループホールディングスは2桁減収となった。
また、23年3月期通期決算を見てみると、3社とも増収減益で利益面では厳しい結果となったが、24年3月期の業績予想は3社とも増益を見越している。一体なぜか。
次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、増収減益の要因を解説する。