保険ショップが新型コロナウイルスの感染拡大を契機に低迷を続ける中、訪問販売型の乗り合い代理店の業績が好調だ。中でも、昨年9月に上場を果たしたFPパートナーの勢いが止まらない。特集『[激変]生保・損保・代理店 保険大国の限界』(全22回)の最終回では、業界内で話題に事欠かない同社について、黒木勉社長に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
FPパートナーの時価総額は1000億円超!
黒木勉社長に数々の論点を直撃
2022年9月、東証グロース市場に上場を果たした、訪問販売型の大手乗り合い代理店のFPパートナー。かつて同社は、「保険のビュッフェ」という屋号を使用していたが、現在は屋号を「マネードクター」に改め、有名タレントを起用したテレビコマーシャルをバンバン放映するなどして、破竹の勢いで業容を拡大している。
そのFPパートナーの時価総額は、実に1000億円超。上場時に公募価格を5.8%上回る2750円を付けた株価は、現在、9490円(6月21日時点)にまで上昇しているのだ。
保険代理店としては異例のことだ。例えば、上場代理店の代表格である、アドバンスクリエイト(屋号は「保険市場」)の時価総額は約270億円(同)。同じく上場代理店のブロードマインドやアイリックコーポレーション(屋号は「保険クリニック」)の時価総額は、共に100億円を大きく下回っている。何より、保険代理店のビジネスモデルは古くからあるもので、「なぜ、こんな高値が付いているのか?」と業界関係者は不思議がる。
それはひとえに、FPパートナーの業績が右肩上がりを続けていることに加え、株式市場からの成長期待が高いからだろう(下図参照)。
もっとも、FPパートナーといえば、かねてビジネスに対する貪欲さについて眉をひそめる向きも少なくない。そこで、同社の黒木勉社長に直撃インタビューを行い、上場に至った訳や、業界内でうわさになっている点について話を聞いた。