自社で扱っていない商品を紹介!?制作スタッフの“誤算”

 こうして、リニューアル後の初回動画で紹介した「キムワイプ」ですが、実は公開当時、この商品は有隣堂で取り扱っていませんでした。つまり有隣堂とは直接関係のないものを、リニューアル後、一発目のYouTubeで取り上げたのです。

 このときの裏話をお話しすると、実はキムワイプを自社で取り扱っていないことを、ハヤシさんも私たち(有隣堂のYouTubeチーム)も撮影をおこなうまで知らなかったのです。というのも、岡崎がミーティングに持ってきた時点で、当然、有隣堂で売っているものだろうと全員が思い込んでいたからです。言い訳のようですが、膨大な点数の商品を取り扱っているため、有隣堂の社員も自社で扱っているすべての商品を把握しているわけではないのです。

 つまり、はじめから懐広く、有隣堂のYouTubeチャンネルではなんでも紹介してOK、と思っていたわけではなく、自社で扱っていると思い込んでいたものだから、岡崎に確認をするという発想が湧かなかったというのが事の真相でした。

 衝撃の事実が発覚したのは、ブッコローが、撮影中に岡崎に何気なく聞いた一言が発端。「これ、有隣堂の各店舗で買えるんですか?」とたまたま聞いたことで、有隣堂の商品でないことが判明したのです。

 繰り返しになりますが、私たちのYouTubeは、事前の打ち合わせで確認するのは全体の大きな流れのみで、細かな台本はありません。ブッコローの発言は、ほとんどすべて、ブッコロー自身の判断でおこなわれています。この予想外の質問に、さらに予想外の回答が返ってきたというわけです。

 私たちは当然、驚き、慌てました。

 けれどよく考えてみたら、私たちは岡崎に、好きな文具を持ってきてほしいとだけ頼んでいて、自社で売っているものでないとダメだとは言っていなかったわけです。岡崎としては、私たちの要望に応えて愛用しているキムワイプを紹介し、撮影中にブッコロー(の中の人)に有隣堂で買えるのかと聞かれて、正直に「買えません」と答えたにすぎなかった。岡崎に非はないのです。

 その証拠に、この動画で岡崎は、全く悪びれずにそう答えています。

 とはいえ岡崎でなければ、事前に「うちで売っていないけどいいですか?」という確認をとったのではないかとも思います。自社で扱っている商品かどうかよりも、商品そのものへの愛が勝ってしまう人。それが岡崎であり、初回の動画が反響を呼んだ一因でもありました。