わが子が伸びる中高一貫校&塾 2026年入試直前版#24写真提供:フォトン算数クラブ

中学受験の4教科で最も点数差がつき、最も成績に悩む子が多いといわれる科目が「算数」だ。特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾 2026年入試直前版』の#24では、「先取り」を武器にして、塾生の83%が御三家・早慶以上に進学した「フォトン算数クラブ」の武井信達塾長に算数力を伸ばす秘訣を聞いた。難関校志望者向けはもちろん、算数偏差値40台の子を1年で偏差値10アップさせる勉強術や、注目度が高まっているオンライン学習の効果的な取り組み方についても開陳する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

算数は積み重ねの科目
4科目で最も点数差がつきやすい

――中学入試において、合格者平均点と受験者平均点の差が最も大きくなりやすい科目が算数といわれています。

 算数が明暗を分けやすい理由は、複数あると思います。

 第一に、中学受験では算数と国語の比重が高いこと。学校によって異なりますが、算数・国語の配点は理科・社会と比較して1.5倍程度のケースが多いはずです。

 また、算数は「積み重ね」が重要な科目です。社会や理科は単元が変われば挽回できるケースがありますが、算数の場合、掛け算ができないと割り算ができないように「つながり」があります。どこかでつまずくと、それが積み重なっていきます。

――算数の重要性を理解して、4科目の中で最も勉強時間を割いているにもかかわらず、算数の成績に悩む受験生は少なくありません。フォトンではどうやって算数力を付けているのでしょうか。

 私がずっと訴えているのは、「算数が得意な子が、算数を好きになる」ということ。褒められるから好きになって、好きだから積極的に取り組み、もっと得意になる。

 世の中の方は「算数が好きな子が、算数を得意になる」と思っていますが、これは逆でしょう。スポーツなど他のジャンルでも同様だと思います。

 とはいえ、何もないのに褒めるのは難しいですよね。ではどうすればいいのでしょうか。

 中学受験の場合、100メートル走とは異なり、フライングがありません。だからフォトンでは少し早めから取り組むことで、算数を得意にするわけです。

 得意になると褒められる機会が増えますよね。その結果、算数が好きになって、「やればできるな」と自信が付き、もっと頑張って得意になる。「算数は得意だ」という自己認識をつくる。正のスパイラルをつくることが大事です。

 算数が苦手な子の中には、保護者に怒られたり、友達の前で恥をかいて算数が嫌いになった子も多いと思います。算数そのものではなく、それに付随する部分の影響も大事です。

武井信達・フォトン算数クラブ塾長たけい・のぶたつ/フォトン算数クラブ塾長。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了(同大学卒業)。中学受験算数指導歴30年以上。2007年に東京・自由が丘にて1人でフォトン算数クラブを創業。2025年度は塾生の83%が御三家・早慶以上に進学。 写真提供:フォトン算数クラブ

――フォトンの圧倒的な合格実績に魅力を感じつつも、先取りを推奨しているだけに厳しそうというイメージを持つ方もいます。実際のところはどうでしょうか。

 スパルタではありませんが、「熱い」とは思います(笑)。自分では分かりませんが、多分、普通の人よりは熱いですし、中途半端にしたり曖昧なまま流せないんですよ。

 フォトンを始める前の塾講師・家庭教師時代、大手塾の偏差値で40に届かないものの「慶應志望」の子がいました。どうやって合格させるかを真剣に考えました。一般的には他の志望校を検討するのでしょうが、そこが私の原点です。

 この子たちを何とか早慶以上に合格させるにはどうすればいいのか。徹底的に考えた結果、「これは普通のことをやっても無理じゃん」となったわけです。

 その中で誕生したのがフォトン算数クラブであり、「飛び級システム」です。先取りをしているからこそ、延べ合格数ではなく実人数で見ても、毎年80%以上の生徒が「早慶以上」に進学しているわけです。

「一段飛び(1学年先)」は普通の子でもできます。「凡人」というと失礼ですが、一段飛びは普通の子のために作ったものです。普通の子がレベルの高い学校を目指すのであれば、普通にやったら勝ち目はないわけですから。

――無理だと思うのではなく、何とかして突破口を見つけ出す?

 私が手を抜くのが下手なのかもしれませんが、諦めるタイミングが早過ぎる方が多い気がします。

 これはフォトンで学んでいる子に限りません。5年生、6年生で日能研や四谷大塚の偏差値が40台の子も同様です。後述しますが、中堅層であれば1年で偏差値を10以上アップさせることは難しくありません。お子さん、ご家庭共にもっと粘っていいのではないか、もっと自分に期待していいのではないかという気がします。

――とはいえ、暗記が中心となる理科・社会と比較して、算数は「地頭」や「ひらめき力」が重要な科目だといわれています。「算数特化塾」で結果を出している理由をどう考えていますか。

「うちの子はひらめきがない」と悩んでいる方、いらっしゃいますよね。皆さん、これについても誤解しているかもしれません。最難関の筑波大学附属駒場の算数であっても、ゼロから解法を生み出すという意味での「天才的なひらめき」は必要ありません。

武井氏が難関校に合格するために「天才的なひらめき」は必要ないと言う真意は。次ページでは難関校の算数入試で不可欠な力に加えて、偏差値40台の算数が苦手な子が「1年で偏差値10アップ」するためのヒントやオンライン学習の学習ポイントについてなど、盛りだくさんのロングインタビューをお届けする。