目玉政策の財源は具体的根拠のない
「歳出改革」と「つなぎ国債」
「骨太の方針2023」が6月16日、閣議決定されたが、岸田文雄首相肝いりの異次元の少子化対策は、結局、安定財源が曖昧なまま、根拠が不明な「歳出改革」と「つなぎ国債」での対応となっている。
防衛費増強やGX(グリーントランスフォーメーション)推進といった他の重要政策も、中身は決めるものの、その財源は先送りしている。
財源がはっきりしなければ、政策の持続可能性や信頼性に疑問が生まれ、政策効果も損なわれてしまう。
とりわけ少子化対策について、これから生まれてくる子どもたちに借金を付け回す国債発行ということになれば、少子化対策の効果はないに等しい。
負担先送りの理由は、「選挙を考えれば増税や社会保険料増など国民の負担を増やす議論はしたくない」ということだと解説される。
永田町の論理には詳しくないが、首相就任直後の2021年10月の総選挙、22年7月の参院選で勝利し、手に入れた「黄金の3年間」とは一体何だったのだろうか。
参院選後は25年までは国政選挙が予定されず、岸田首相は腰を据えて政策に取り組めるとされたはずだ。自由な議論を通じて、国民にも負担増への理解を求めて目玉政策を実行する3年間だったはずだが、すでに重要な期間の半分を浪費してしまった。