こども政策・GX・防衛費「財源3兄弟」先送りで浮き彫り、岸田政権の不安な総合力Photo:Anadolu Agency/gettyimages

目玉政策、財源のめどないまま
見切り発車の23年度予算編成

 一般会計歳出総額が114兆円余りとなる2023年度当初予算案が昨年末、閣議決定されたが、巨額予算を必要とする三つの目玉政策、「こども政策」「GX(グリーントランスフォーメーション)推進」「防衛費増強」は、いずれも確たる財源のめどがないままのスタートになった。

「財源3兄弟」と呼ばれ、相当規模の財源をどう調達するのかという共通の問題を抱えていたが、防衛費増強で掲げられた法人税や所得税などの増税実施時期が与党内の反発から先送りされたのに象徴されるように、岸田文雄首相は指導力を発揮できないままだった。

 おりしも日本銀行は緩和政策の事実上の修正に踏み出し、これまで日銀が超低金利政策を続けてきたことでコストを気にすることなく国債増発でやりくりしてきた財政運営も、転換を迫られる。

 予算編成は、時の政権の最大の意思決定でもあり政権の総合力を示すものだが、23年度の予算編成や税制改正を見る限り、岸田政権の3年目の政策遂行や財政運営は多難だと言わざるを得ない。