1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、 ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への、意外な解決法を提案します。

【過保護注意】「まるで動物園」のような家庭で育つ子の末路Photo: Adobe Stock

子育てを3つのステージにたとえたら、「覚悟が決まった」親が大量発生

● 子どもがやることは、すべて親が決めている。
● 子どもが何かするときは、親が先回りしてなるべく失敗させないようにしている。
● 子どもが親の思い通りにならないと、イライラして感情的になることがある。

 このいずれかに当てはまる人は、過干渉なタイプと言えるでしょう。もちろん愛する子どものために、よかれと思ってやっているに違いありません。

 しかし、子どもも自分の考えや価値観を持った1人の人間です。調教師が芸を覚えさせる動物のような存在ではありませんよね。

 親が過干渉でも、子どもが小さいうちは言うことを聞いてくれるでしょう。でも中学、高校生になると一様に反抗しはじめます。「何か言えば言うほど関係が悪化します……」という悩み相談が一気に増えるのも、この時期です。

 親と子は別人格ですから、親がいいと思うことが必ずしも子どもにいいとは限りません。むしろ親が子どものことを思えば思うほど、その愛情が形を変えて「よけいなお世話」になりがちなのです。

 親の焦りや不安、子どもへの期待や不信感から過干渉が続いていくと、最悪の場合、子どもが家庭内暴力をふるうようになります。

 その悪循環を断ち切るためには、自分が生んだ子どもでも基本的に「人は変えられない」と親が割りきる必要があります。

 そして今後、子どもから心は放さずとも、口と手は放す覚悟を決めることです。

子どもの成長に合わせて進めよう

 勉強を含め、子どもが自分から行動できるようになるには、成長に合わせて段階的に3つのステージを進むのが一般的な理想像です。

 まず前提として、動物の場合には大きく分けて次の3つの環境があるとします。

● 動物園型/何もしないでぐうたらしているだけでエサをもらえるけれども、自由のない狭い場所でしか生きられない。
● 牧場型/昼間は草原で自由に行動でき、動物舎に帰れば安全・安心が保たれた寝る場所やエサがある。
● サバンナ型/いちばん自由でどこにでも行けるけれども、危険から身を守り、自分で水や食べ物を探しながら生きていかなければいけない。

 人間の子育ても、この3つの環境に置き換えて考えるとわかりやすいと思います。あなたは今、どの環境で子育てしていますか? 子どもが大きくなったら、どの世界で生きていってほしいですか?

*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです。