日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界350万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながら、「人々を貯蓄へと駆り立てる意外なもの」について見ていこう。

「住宅購入」「子ども」「休暇」より貯金への意欲を高めていた意外な理由とは?Photo: Adobe Stock

 本書で、私はこう書いた。

 現代には、投資すべき確固たる理由がある。

 ここでは、私たちが今すぐ投資をすべき3つの理由について説明する。

1 老後に備えるため
2 インフレから資産を守るため
3 「人的資本」を「金融資本」に置き換えるため

 なぜ、この3つがパーソナルファイナンスにとって重要なのか、一つずつ見ていこう。

 今回は、1つ目を紹介する。

投資すべき第一の理由

 自分の将来のために貯金することは、投資すべき第一の理由になる。

 誰でもいつかは働けなくなるか、働きたくなくなる日がくる。

 だから老後資金をつくるために投資するのだ。

 年老いた自分の姿を想像するのは難しい。

 まるで他人のように感じられるかもしれない。

「今と同じような感覚のまま老いていくのか、それとも別人のようになるのか?」
「老人になったとき、それまでのどんな経験が自分に大きな影響を及ぼしているのだろうか?」
「私は老人としてうまく生きていけるのだろうか?」

 そんな疑問を思い浮かべる人もいるだろう。

 だが、現在の自分とどれだけ違っていようと、未来の自分について考えるのは、投資行動の改善に大きな効果があることが研究によって明らかになっている。

リタイア資金計画に関する
興味深い実験

 ある実験で、被験者グループにコンピュータで作成した自分自身の「老後の想像写真」を見てもらい、それがリタイア資金の計画にどう影響するかを調べた。

 その結果、大きな効果があることがわかった。

 老いた自分のイメージ写真を見た人は、見なかった人より、(平均して)給料を約2%多く老後資産に振り分けていた。

 リアルな自分の老後の姿を見ると、長期的な投資行動が促されやすくなるのだ。

 貯蓄行動に最大の影響を与えた動機を調べた他の研究でも、同様の結論に達している。

「子ども」「休暇」「住宅購入」より
貯蓄のインセンティブを高めていたものとは?

 貯蓄の動機として「緊急時への備え」以外に「老後のため」を挙げた人は、そうでない人に比べ定期的に貯蓄している傾向が高かった。

 つまり、「子どものため」「休暇のため」「住宅購入のため」といった他の目標より、「老後のため」という目標のほうが人々を貯蓄に駆り立てていたのだ。

 所得などの標準的な社会経済指標を調整しても、この結果は変わらなかった。

 本書第3章で見たように、所得は貯蓄率を大きく左右する

 だがこの研究は、収入の多寡にかかわらず、老後を貯蓄の動機にすると、お金を貯めやすくなることを示唆している。

 つまり貯金や投資の額を増やしたいなら、「自分のため」(特に、自分の老後のため)というある意味自分勝手な動機を利用するといい。とはいえ、投資する理由は他にもある。

 それは、ただお金を持っているだけでは不利になる現実を避けるためだ。

(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)