日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界350万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながら、「貯金するのが楽しくなるコツ」について見ていこう。

【全米屈指のデータサイエンティストが教える】今日から貯金が楽しくなるアドバイス・ベスト1Photo: Adobe Stock

“謎の魚”ドリーバーデン・チャーと
貯金の非常識な関係

 本書では、食料の量に応じて消化器管の大きさを変化させる魚、ドリーバーデン・チャーの「表現型可塑性」について紹介した。

 ドリーバーデン・チャーは、年間を通して同量のカロリーを消費するのではなく、得られる食物の量に基づいて摂取カロリー(と代謝)を変化させる。

 そう、私たちは貯金に関して、この魚と同じことをすべきなのだ。

 貯金をたくさんできるときはそうする。そうでない場合は少なく貯金する。

 生涯を通じて収入は一定ではないのだから、収入が一定であることを前提とした貯金のルールを絶対的なものとすべきではない。私も個人的にこれを体験している。

 ボストンに住んでいたときは収入の40%を貯金していたが、ニューヨークに引っ越した最初の年には貯蓄率が4%に下がった。

 転職し、ルームメイトとの共同生活をやめ、一人暮らしを始めたからだ。

 もし、「何があっても収入の2割を貯金する」というルールに頑なに従っていたら、ニューヨークでの1年目の生活は極端に切り詰めた、みじめなものになっていただろう。

貯金に関する最良のアドバイスとは?

 だからこそ、貯金に関する最良のアドバイスは、「できる範囲で貯金する」となる。

 このアドバイスに従えば、ストレスが大幅に減り、幸福度も格段にアップする。

 私がそれを確信しているのは、みんながお金のことで大きな不安を抱えているのを知っているからだ。

米国心理学会の
興味深い研究

 米国心理学会によると、「『ストレス・イン・アメリカ(Stress in America TM)』が2007年に調査を開始して以来、景気の状況にかかわらず、米国人の一番のストレス要因は、一貫してお金である」ということだ。

 米金融機関のノースウェスタン・ミューチュアルが実施した「プランニング・アンド・プログレス・スタディ」によれば、米国の成人の48%が貯蓄率について、「高」または「中程度」の不安を感じている。

 これらのデータからも明らかなように、多くの人たちは自分がどれだけ貯金できているか不安になっている。

 もちろん、貯蓄率が低ければ経済的には苦しくなる。

 だが研究によって、その経済的な苦しさより、貯蓄率の低さからくるストレスのほうが悪影響を与えることがわかっている。

 たとえば、ブルッキングス研究所がギャラップ社のデータを分析した結果、「一般的に、ストレスから生じるマイナスの影響は、収入アップや健康増進から生じるプラスの影響を上回る」ことが明らかになった。

 つまり、ストレスを感じない形でやってこそ初めて多く貯金できるということだ。

 そうしなければ、デメリットがメリットを上回りかねない。

 私も個人的にこれを体験している。

 あるとき、誰かが決めた恣意的なルールに従って貯金するのをやめた。

 すると、過度にお金に執着しなくなった

 できる範囲で貯金しているので、お金に関する自分のあらゆる判断に疑問を持つことなく、お金とのつき合いを楽しめるようになった。

 私と同じような変化を体験したいなら、まずどれだけ貯金できるかを見極める必要があるのだ。

(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)