インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。『このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。
長期の運用パフォーマンスが高い
世界株式ファンドの投資候補
それでは、具体的に候補となるアクティブファンドを見ていきます。
まずは、世界株式インデックスファンドの代わりに、積極運用の中核に据えられるような世界株式アクティブファンドを探してみましょう。
過去の運用実績をしっかり見るため、10年以上の運用実績があるアクティブファンドを対象としました。
長期で運用できるよう、償還日については「償還まで20年以上」または「無期限」を条件に絞り込み、運用効率の劣る「毎月分配型」や高コストで仕組みがわかりにくい「通貨選択型」などは除外しています。
これらの条件を満たし、長期の運用パフォーマンスが高いものを選んだ結果が、下図の3本のファンドです。
順にそれぞれの特徴を見ていきましょう。
大和住銀DC海外株式アクティブファンド
(三井住友DSアセットマネジメント)
このファンドは過去10年のトータルリターンが年率18.47%で、カテゴリー平均を5.14ポイント上回る高い運用実績を誇ります。
シャープレシオ(投信の効率性を表す。数字が大きいほど効率性が高い)は1.02で、カテゴリー平均を0.24ポイント上回っており、運用の効率性も高いと評価できます。信託報酬は年率1.78%です。
三井住友DSアセットマネジメントのファンドですが、実際の運用はアメリカのティー・ロウ・プライスに委託されています。同社は1937年創業の歴史ある運用会社で、創業者のトーマス・ロウ・プライス・ジュニア氏は「成長株運用の祖」と呼ばれるほどの運用者でした。
現在のティー・ロウ・プライスは、独自のファンダメンタル・リサーチによるアクティブ運用に強みを持ち、世界的に非常に高く評価される運用会社です。
(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。