「iDeCoとNISA、どっちがいい?」は無意味!入らない方がいい人の特徴は?写真はイメージです Photo:PIXTA

来年からNISA(少額投資非課税制度)の仕組みが大幅に改善されることで制度が恒久化され、利用限度額も大幅に拡大するというのはご存じの通りである。これを受けて、「もう選択肢はNISA一択で、iDeCo(個人型確定拠出年金)はあまり使い道が無くなる」という声を時々耳にする。しかしながら、これは大きな間違いである。今回は、そのあたりを間違えないように詳しく解説しよう。(経済コラムニスト 大江英樹)

「iDeCoとNISA、どっちが良い?」という質問は
「生命保険と自動車保険、どっちが良い?」と同じで無意味

 そもそもiDeCo(個人型確定拠出年金)とNISA(少額投資非課税制度)というのはその目的も仕組みも全く異なる制度である。よく「iDeCoとNISA、どちらを利用すべきですか?」とか「どちらを優先して積み立てるべきですか?」という質問を受けることがあるが、この質問自体にはほとんど意味がない。

 例えば「生命保険と自動車保険、どちらに入るべきですか?」と聞かれたらどう答えるだろう。これは正直言って答えようがないし、比較すること自体に意味がない。なぜなら両者は保障する内容が全く異なるものだからだ。

 生命保険は言うまでもなく、自分が亡くなった時に経済的に困る人がいる場合には入るべき保険だ。したがって、独身であるとか、筆者のように70歳を超えて年金受給を始めているような人間にとってはほぼ入る必要がない。一方、自動車保険は車を運転する人が事故を起こすことで、傷害や死亡といった事態が起きた場合にそれを保障するのが目的である。したがって、車を運転する人は必ず入らなければいけないと思うが、免許を持っていない、車を運転しない人にとっては入る意味は全くない。

 つまり必要であればどちらも入るべきだし、必要がなければ入らなければいい。入るのが良いとか悪いとかではなく、必要か必要でないかで判断すべきなのだ。

 そう考えるとiDeCoとNISAも利用するメリットがあればどちらも利用すべきだし、自分にとってあまり意味がなければ、どちらも別に利用しなければならないことはない。単純に答えだけ言ってしまうとこうなるのだが、もう少し詳しく考えてみよう。