誰でも「頭がいい人」のように思考するためのツール「フレームワーク」。だが世の中には、いろいろなフレームワークが溢れていて、「いざ使ってみよう!」というときにどれを使えばいいのかわからない…。こんな悩みをかかえている人も多いだろう。それを解決してくれるのが、『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』だ。厳選されたフレームワークだけを紹介し、使い方のコツをシンプルにまとめた非常に便利な1冊だ。本連載では、本書の内容から、「誰でも実践できる考えるワザ」をお伝えしていく。

グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50Photo: Adobe Stock

3C分析とは?

 3C分析では、事業の重要な要素である市場・顧客、競合、自社の3つにフォーカスして事業成功の鍵(KSF:Key Success Factors)やマーケティングの方向性に関する知見を得ます。

 シンプルではありますが、使いやすく、効果も高いのが特徴です。

 3C分析でそれぞれ着目するポイントは以下となります。

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市場・顧客分析の着眼ポイント

 特にマーケティング戦略を考える際にはこの部分が最重要となります。具体的には、

 ・購買人口、市場規模、成長率、顧客構成
 ・顧客ニーズ(可能な限り深層ニーズに迫る)
 ・購買決定プロセス(購買の際に重視するポイント、情報収集の方法、購買までに要する期間など)
 ・購買特性(いつ、どこで購買するか、どのように購買するのかなど)
 ・購買決定者(特にBtoBビジネスでは重要)
 ・KBF(重要購買決定要因:結局、購買にあたって何を重視するか)

などを確認します。

 重要なのは、「市場」というマクロな視点と、「顧客」というミクロな視点を併せ持つことです。特にBtoBビジネスでは、顧客は固有名詞単位で検討する場合もあります。

競合分析の着眼ポイント

 競争状況や競争相手について把握します。

 寡占度、参入障壁、競合の戦略、競合の提供価値やポジショニング、経営資源や構造上の強みと弱み(営業人員数、生産能力など)、競合のパフォーマンス(売上高、市場シェア、利益、顧客数など)に着目し分析します。

 競合分析はすべての競合に対して満遍なく行うのは難しいため、深い分析は、経営の意思決定上、重要な競合に絞るのが一般的です。

自社分析のポイント

 自社の事業に関する経営資源や活動について、定性的・定量的に把握します。

 経営資源は、俗に言う「ヒト・モノ・カネ・情報」などの切り口で分析すると特徴がわかります。

 具体的には、売上高、収益性、市場シェア、ブランドイメージ、技術力、人材、ナレッジなどを多面的に分析します。

 活動については、たとえばバリューチェーン分析を用いて、各機能の特徴や、どこで付加価値が生まれているか(もしくはコストを掛けているか)を分析します。

事例で確認

 図表11-2はある企業のエンジニアリング事業に関する3C分析の結果です。

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 グローバルでは競合2社が非常に強く、しかも自社は独自の営業チャネルを持っていないことが見てとれます。

 エンジニアリング事業は技術力に裏打ちされた信用(ブランド)もさることながら、意思決定者に食い込む営業力が鍵です。

 また、一度既存のベンダーに満足すると、発注者側はスイッチしにくくなるという傾向もあります。早期に弱点を克服する必要がありそうです。

 なお、図表11-2の表では簡単な結果をリストアップしていますが、実際にはさらに細かい分析を行います。

用いる場面
・経営者や企画担当者が新規事業の戦略を練ったり、既存事業のテコ入れを行う
・マーケティング担当者や営業担当者が、顧客攻略の糸口をつかむ
・新しい事業機会を見出す
コツ・留意点
1.
最も情報収集が難しいのは競合の分析です。市場に出回っている製品などはリバースエンジニアリングなどの手法によってその構造を解き明かすこともできますが、その背景にある競合企業の強みや、正確なコスト構造、さらには眼に見えにくい組織的な工夫などを把握することは容易ではありません。市場・顧客分析のようにヒアリングやアンケートといったリサーチ手法が使いにくいという事情もあります。
とは言え、地道に公開情報を収集したり、顧客や仕入れ先から間接的に競合に関する評判を聞いたりする、時にはその企業から転職してきた自社社員から倫理上問題ない範囲で情報を収集するなど、着実な努力を積み重ねることが重要です。

2.
自社分析については、視野を狭くして特定の製品や事業しか見ないのではなく、他事業とのシナジーや、会社全体の経営資源を意識することも重要です。
実際、大企業で部門横断的なプロジェクトを行うと、「自社にこんな技術やノウハウがあったのか」と驚かれる方も少なくありません。大きな企業やグループになればなるほど、アンテナをしっかり張って自社の強み、弱みを正しく認識するようにしましょう。