特集『ビジネスエリートのためのExcelデータ分析の教科書』(全10回)の#2では、#1に続いてExcelの「超初心者」、宮田正夫の成長ストーリーの後編をお届け。「SUMIF」「COUNTIF」「VLOOKUP」……。基本的かつ効果的な関数を駆使しながら、営業先である飲食店のデータ分析を行っていく宮田。今後の営業戦略を説明するための資料は課長に認めてもらえるのか?手招きする課長が宮田に見せたものとは?
>>前編#1『Excel超初心者は「VLOOKUP関数」をまず会得せよ、今さら聞けない使い方』から読む
営業に必須の「ABC分析」
飲料メーカーに勤める入社1年目の宮田正夫はExcelの「超初心者」。課長から指示された大量のデータ入力作業を機に、作業効率化に向けてセミナーに参加し、そこで教わった「VLOOKUP関数」を使うと、8時間もかかっていたデータ入力が2時間で終わった!
昼休み。課長が顔を曇らせて近づいてきた。
「宮田、午後一でミーティングやるから。A会議室な」
そう言って去っていく課長の後ろ姿を見て深刻な話だなと感じ、気合を入れ直した。
予感は的中した。課長が部下たちを集めて話したのは、課全体の営業成績が前年を大きく下回っていることだった。
取引先の飲食店自体も売り上げを落としている。そのため、当社も厳しい立場にあるそうだ。
ミーティング後、課長から自分の担当する飲食店への売上表が2年分送られてきた。確認すると、7000件以上にも及ぶ大量のデータだ(図‐9)。
どうやら自分で分析し直して、営業成績をアップする方策を考えろということらしい。いよいよ勉強の成果が試される時が来た。
そもそも、もらったデータでは飲食店ごとに商品別の売り上げが漫然と並んでいるだけ。まずは、飲食店ごとに全体の売り上げを集計する必要がありそうだ。
特定の条件に合うものだけを抽出して合計したい場合、使う関数は、「SUMIF」だ。
まず、集計表(図‐10)を既存の表の右側に作成し、そこに関数を入力していく(図‐11)。うまく結果が出たら、セルの右下をダブルクリックして、関数をコピーすると、飲食店ごとに2年分の売り上げ集計が一気に出てきた。
もしこの関数を知らなかったら、表の中からA店のところを必死に探し出して、ひたすら小計を繰り返す“力業”になっていたかと思うと、ぞっとする。
ここで、セミナーで教えられた「ABC分析(重点分析)」と「パレートの法則」の出番だ。取引先を売り上げ順にAランク、Bランクなどと分けていくと、上位20%の取引先で、売り上げ全体の80%を占める結果が出たというものだった。
「80対20」のパレートの法則は、自分の取引先にも当てはまるのか。早速、分析してみることにした。