日本には数多くの鉄道事業者が存在する。コロナにより経営環境が厳しさを増す中、どのように生き残りを図っているのか。今回は三大都市圏の鉄道事業者を除き、それぞれの地域経済で大きな影響を持つ「地方大手私鉄」として、4社をピックアップし、2018年度と2022年度の連結決算から各社の特色とコロナ後の経営の在り方を見ていこう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
独立系の中小私鉄は
国内に33社
日本には数多くの鉄道事業者が存在する。この中には私たちがイメージする一般的な「鉄道会社」だけでなく、ゴムタイヤで走るモノレールや新交通システム、ケーブルカー、JR貨物と接続する貨物専用鉄道なども含まれるほか、線路設備だけ保有して他社に貸し出す第三種鉄道事業者という区分もある。
国土交通省の鉄道統計年報によれば、鉄道事業法に基づく鉄道事業者は2020年度末時点で210事業者あり、うちJR(旅客、貨物)が7社、市営地下鉄や市電を運行する公営事業者が12局、阪急や東急など大手私鉄が16社あり、それ以外の175社が「中小私鉄」に分類される(「準大手」というくくりもあるが、原資料に基づき「中小」で統一する)。
これをさらに分類すると、まずは自治体の出資を中心に設立された半官半民の第三セクター鉄道を切り分けることができるだろう。