今年は金利上昇が打撃となり、膨張した債務を抱える企業が倒産に追い込まれる年になるはずだった。実際に苦境に陥っている企業もあるが、投資家は大きな問題になるとは考えていない。これは誤算のように筆者には思える。もし金利上昇が進めばなおさらだ。英水道事業大手をはじめ、経営難に陥った企業のニュースが出てきているにもかかわらず、債券市場では最も高リスクの社債が最も高いパフォーマンスを示している。デフォルト(債務不履行)の可能性が最も高い格付け「CCC」の社債は、年初来のリターンが10%に達している。パフォーマンスが最も低いのは安全とされる格付け「AA」の投資適格債で、リターンは2.7%だ。今のところ、株主が懸念しているのは中小企業に限られている。投機的格付け(ジャンク)債の投資家が最も紙くずに近い投資先を好むように、経済学者ロバート・マートン氏が考案した「デフォルトまでの距離」スコアに基づく財務健全性が最も低い大型株が、より高い大型株をアウトパフォームしている。ソシエテ・ジェネラルのクオンツリサーチ責任者アンドルー・ラプソーン氏が分析した。
企業債務危機の予兆、無視する市場
金利はさらに上昇すれば、高債務企業を支援する必要があるため景気は抑制されるだろう
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