インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【投資のプロが教える】創業90年以上、米国でトップシェアを誇るアクティブファンドとは?Photo: Adobe Stock

キャピタル世界株式ファンド
(キャピタル・インターナショナル)

 前回に続いて世界株式アクティブファンドの説明をします。世界株式アクティブファンドの2つ目の候補が、「キャピタル世界株式ファンド」です。

 このファンドは過去10年のトータルリターンが年率14.42%で、カテゴリー平均を2.33ポイント上回る運用実績があります。シャープレシオは0.84で、カテゴリー平均を0.12ポイント上回っており、運用の効率性も高いと評価できます。信託報酬は年率1.70%です。

 先にご紹介したティー・ロウ・プライスと、このファンドを運用するキャピタルは、米国におけるアクティブ運用の両巨頭と言ってもいいでしょう。キャピタルは1931年創業で90年を超える歴史があり、キャピタル・グループの投信ブランド「アメリカン・ファンズ」は、米国でアクティブファンドのトップシェアを誇ります。

 キャピタルの運用について注目すべきは「キャピタル・システム」と呼ばれる運用スタイルで、1つのファンドを複数のファンドマネジャーが独自の運用方針をもって運用するのが特長です。

 ファンドマネジャーは運用を任された資金でどの銘柄を買ってもよく、たとえば同じファンドの運用を担うファンドマネジャーAさんとBさんが同じ銘柄を買うこともあれば、Aさんがある銘柄を買う一方でBさんがその銘柄を売るということもあるわけです。

 キャピタル・システムが目指すのは、飛び抜けて優秀な運用実績を出すファンドマネジャーをつくることではありません。もしそのようなファンドマネジャーをつくれば、その1人が抜けたとたんにパフォーマンスが落ちてしまうおそれがあるでしょう。

 そのような問題をできる限り排除するために、1つのファンドを複数のファンドマネジャーで運用する体制を敷いているのではないかと思います。このようなシステムのもと、同社はアクティブファンドで長年にわたり圧倒的に高い運用実績を誇っているのです。

(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)

朝倉智也(あさくら・ともや)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。