投資信託への投資方法として積み立て投資が挙げられることが多い。その根拠は積み立て投資によるドルコスト平均法のメリットである。ほとんどのケースで現実の株価などを基にそのメリットが論じられる。今回は、理論的に検証することで純粋な効果を計測してみた。(レオス・キャピタルワークス株式会社未来事業室長 田中秀一郎)
現実の株価をモデルにすると
ドルコスト平均法の純粋な効果がわからない
投資信託を活用した長期目線での資産運用の方法として、よく挙げられるのが積み立て投資です。これは、メリットが多くお勧めの手法ですので、簡単にご紹介したいと思います。
よく積み立て投資のメリットとして挙げられるのは「ドルコスト平均法」の効果です。
これは、毎回一定金額でリスク資産に投資していると、安いときにはたくさんの投資単位を購入でき、高いときには少しの投資単位しか買えないので、長期に均してみると買い付け単価を引き下げる効果があるので得である、というものです。
この効果を検証してみるために、次ページにあるようにいくつかの図表を作ってみました。
ただ、世間でよく見るドルコスト平均法の例示は、実際の株価指数の推移を使って計算したり、大きな下落相場の後に反転した場合、などの恣意的なサイクルを作って計算したりと、機械的な売買手法の説明である割には、機械的でない値動きを使った説明が多いようです。
これだと、相場に内在するトレンドとか、その時期の振幅の癖などによる効果が混入してくるため、純粋なドルコスト平均法の効果が隠されてしまっている可能性があります。
そこで、次ページで非常に単純なサイン関数の動きに基づいてシミュレーションを行い、純粋なドルコスト平均法の効果を見てみることにします。当然に、実際の相場とは異なります。あくまで計算上の例題として理解してください。