米国株価指数一辺倒の投資で大丈夫ですか?日本株保有のメリットとはつみたてNISAや一般NISAの限度額を拡大し、期間も恒久化させる検討が岸田内閣で進んでいる Photo:UPI/AFLO

 米国株価指数(S&P500など)や世界株価指数(MSCI ACWIなど)などに連動する投資信託で「つみたてNISA」や確定拠出年金の積立投資をする人が若手、中堅世代を中心に増えている。

 例えば「みんかぶ」のサイトで過去1年の売れ筋投資信託のランキングを見ると、米国株価指数か世界株価指数に連動する投資信託が上位1位から5位ぐらいまで占めている。過去3年で見てもほぼ同様だ。

 筆者が初めて米国株価指数S&P500に連動する上場投資信託(ETF)をまとまった金額で購入したのは米国赴任中の2006年だ。長期にわたる投資リターンが抜群であることに遅ればせながら気が付いたからだ。2008年のリーマンショック時の前後にも買い増し、以来米国の証券口座で取り崩さずに運用を続けている。

 ところが筆者が2007年に帰国してエコノミストとして執筆や講演を活発化させ始めた当時は、米国の金融危機と重なったこともあったろうが、「米国株価指数連動の投資信託やETFの長期保有が良い」と著書や講演で語っても「へ~」という反応が一般的だった。

 そもそもS&P500連動の投資信託自体、その頃は日本国内では販売されておらず、日本の投信セールスは世界の潮流からかけ離れたものだった。

 そういう意味では近年の人気投信の変化には感慨深いものがあるのだが、今ではむしろ米国株価指数連動型の投信一辺倒の人気にやや不安を感じ始めている。また過去20年間さかのぼると世界株価指数連動型についてもそのリスクとリターンは決してベストではない。

 むしろ日経平均や東証株価指数(TOPIX)など日本の株価指数連動型のファンドもポートフォリオに保有することのメリットを今回はご説明しよう。