米国は中国との大規模な経済的デカップリング(切り離し)を望んではいない。先週末中国を訪問したジャネット・イエレン米財務長官は、中国側にそう納得させる決意だ。もしイエレン氏や、同様の考えを持つ米政府高官が、今後半年かけて(米国と台湾で大統領選が実施される2024年より前に)米中関係を安定させることに成功すれば、世界全体はもちろん、来年の市場にとっても主要なリスク要因が取り除かれることになる。だが、今は両国経済の一部切り離しの機運が高まっている。中国経済の今年の予想外の低迷が、米経済の驚くべき粘り強さとともに、米政界のタカ派をいっそう勢いづけることになるのかもしれない。「安全保障のジレンマ」は、国際関係の研究者にはおなじみの概念だ。つまり安全保障を高めるための行動(例えば軍事費の増額)が戦争への備えだとライバル国に認識され、それらの国が対抗措置を講じることで、長期的には自国の安全保障を損なうことがある、という考えだ。
米中「デカップリング」機運高まる
イエレン氏が対中関係改善に努める中、企業には「脱リスク」の動き
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