怯える女性写真はイメージです Photo:PIXTA

ある日突然犯罪に巻き込まれ、被害に遭ってしまう…という事態は誰にでも起こりうる。だが、「警察に訴えたにもかかわらず受理してもらえない」というケースが、実は少なからず見られるのだ。本来、犯罪の捜査や犯人逮捕に努め、被害者を守るべき警察に刑事告訴を断られてしまったら、いったいどうすればいいのだろうか。本記事では「刑事告訴が受理されない」理由とその対処方法について、刑事事件の被害者支援に詳しい弁護士が解説する。(リード法律事務所代表弁護士 大山 慧)

一般市民が「犯罪被害」に遭ってしまったら

 ごく普通に生活していただけなのに、ふとしたきっかけで犯罪の被害に遭ってしまうことは誰にでもありうる。自宅が空き巣に入られた、酔った勢いで暴力を振るわれたなどの犯罪被害に遭った場合に取るべき行動は、緊急通報(110番)または、最寄りの警察署へ出向いて被害届や告訴状を提出し、捜査を依頼することである。

 警察はこれを受けて捜査を開始し、犯人(加害者)を逮捕、起訴→裁判へと進み、加害者にしかるべき刑罰が与えられるという流れだ。

 ところが、犯罪捜査のスタート地点ともいえる「被害届」や「告訴状」が、ほかでもない警察の受付窓口で受理されず突き返されてしまうという事態がしばしば起きているのを、ご存じだろうか。

 以下は、実際に当事務所へ相談があったレイプ犯罪被害者の経験に基づく事例である。