1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への意外な解決法を、子育てを「動物園型」「牧場型」「サバンナ型」にたとえて解説します。

【まるで動物園】過保護の沼から抜け出すたった1つの不安解消法Photo: Adobe Stock

“放牧”すると、親は不安や焦りからも解放される

 子育てしている人には、基本的に4つの欲求段階があります。

 第1段階は生存の欲求で、子どもに元気で生きていてほしいと思う気持ちです。

 第2段階は心身の成長欲求で、心も体もすくすく成長してほしいという思いです。

 この次は、親の悩みが増えていく「苦悩モデル」と子ども主体の「安心モデル」に分かれます。

 苦悩モデルの第3段階は、子どもが平均からはずれないことへの欲求です。

 先ほども述べたように、同年齢の子どもたちの平均値が気になり、自分の子どもを平均値に合わせようとします。すると、親が強制的に短所を是正しようとして、平均値以上のレベルを求めはじめます。

 そのまま第4段階へ進むと、親の思い通りにさせたい欲求がさらに強くなります。

 子どもを「理想の枠」に入れるため行動を強制、制限するようになり、「枠」に収まらないと親子関係が険悪になることもあります。

安心モデルと苦悩モデル、たった1つの違いは?

 一方、安心モデルの第3段階は、親目線ではなく子ども目線でいいところを伸ばしてあげたいと思う欲求です。この欲求があると、「子どもの短所は成長とともに変わっていけばいい」と気長に構え、子どものやりたいことを応援して長所をほめるようになります。

 次の第4段階は、子どもには子どもの人生があると認め、その子の個性を尊重する気持ちが強まります。

 苦悩モデルと安心モデルの違いは、たった1つ。前者は「同級生が比較対象」で、後者は「その子自身の成長過程が比較対象」なのです。“放牧”子育てをしていると、自然と後者になると思います。言うまでもなく、苦悩モデルのほうが親子のストレスがたまるため、“放牧”による安心モデルで子どもと向き合ってあげてください。

*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです(次回へ続く)。