ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
Q. 面接で失敗しない方法はありますか?
読者からの質問 内向型の人は、面接がうまくいかないことが原因で就職・転職活動に失敗するケースが少なくないと思います。面接で成功するには、どのような対策をすればよいでしょうか?
ジル・チャン氏 私もそうですが、内向型の人は、人前で話すときにとても神経を使います。初対面の相手ならなおさらです。
でも面接に限らず、「人前で話す前」にその緊張を和らげることができる方法がいくつかあります。
一つは、話す相手の情報をできるかぎりたくさん集めることです。相手のことを知っているという自信があると、誰だかわからない相手を前にしているときにくらべて、はるかに緊張を和らげることができます。
たとえば会社の面接なら、受ける会社の事業内容や業界内での立ち位置、今後のポテンシャルを調べ尽くしましょう。そうすると、自分が入ったら任されそうなポジションや聞かれそうな質問、面接官の雰囲気などが想像しやすくなるので、想定問答などを準備するうえでもその質が圧倒的に高まります。
もう一つは入念にリハーサルをすること。人前で話すときに恐怖や緊張をなくせるもっとも効果的な方法は、「とにかく練習を繰り返すこと」です。不安がなくなるまで、原稿が自然と口をついてレベルまで練習をしておけば、やるだけのことはやったという自信を持って本番に臨めます。
また、シチュエーションも再現できるとベストです。絶対に失敗できない面接であれば、友人に付き合ってもらったり、キャリアコンサルタントに依頼したりして、何回も模擬面接をやっておきましょう。
相手のことを徹底的に調べて、リハーサルを入念にすることで、実際的にも精神的にも、備えを完璧に近づけることができます。
自己紹介をスマートにこなそう
チャン氏 さらには、自分のこれまでの実績が目で見てわかる資料を用意できるといいと思います。
社内など、話す相手が自分のことを知っている場合なら不要ですが、面接など、初対面の人を相手にするときは、自分のことや自社のことをわかりやすく相手に伝えられるよう、見てわかる資料を用意しておくと安心です。
面接でもそうですが、だいたいの場面において、話す時間は限られているものです。自己紹介でテンパったり手間取ったりしているともったいないです。
ですから、自分のことはだらだらと話すのではなく、実績や経歴、あるいはスキルや能力といったことまで、一瞬で伝えられる資料を準備しておくこと。
そうすれば手短に自分のことを知ってもらえますし、知ってもらえれば話も聞いてもらいやすくなります。