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新年度で配置換えがあり、管理職として仕事をしなくてはならなくなった……。マネジメント経験がなく、どうすれば部下に動いてもらえるのかわからない。自分の頭で考えて行動してほしい……。そう悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、こういった新米上司がぶつかる壁をどう乗り越えるべきか、「ブッ刺さりすぎて声出た!」「今年一位かも」と話題沸騰中の著書『頭のいい人が話す前に考えていること』の20万部突破を記念して元デロイトのコンサルタント・安達裕哉さんに特別インタビューを実施します。
右も左もわからない管理職1年目を乗り切るコツを、安達さんに、くわしく教えていただこうと思います!(取材・構成/川代紗生、撮影/疋田千里)

管理職がぶつかる「意欲も能力も低い部下」問題

――マネジメント経験がないのに管理職になってしまった場合、「部下への指示の仕方がわからない」「部下との距離の取り方に失敗した」など、さまざまな壁にぶつかると思います。安達さんが、これまで「上司」としてふるまう上で、いちばん「しんどいなあ」と思ったのは、どんな瞬間でしたか?

安達裕哉(以下、安達):私自身の管理職経験や、コンサルタントとしていろいろな組織を見てきた中で考えると、「管理職の一番の悩み」は「向上心がなく、能力が低く、素直でない」部下の扱いだと思います。

 上司との関係や目標のキツさ、会議の多さよりも、こういった「教育の費用対効果が合わない人」をどうするべきかって、判断がすごく難しいんですよね。

 新しく管理職になったばかりの頃は、「何がなんでも成果を出さなきゃいけない」というプレッシャーもありますし、メンバーのフォローをしたり、数字が足りなければ自分で動いたりと、やらなきゃいけないことがたくさんあります。

 そんな中で、意欲も能力もない人の育成にどれくらい時間をかけるかって、大きな悩みどころなんです。

 極端なことを言えば、今年度の目標達成のために、その人を「戦力としてカウントしない」という選択肢もあるわけですから。

頭のいい人が話す前に考えていること

――たしかに!どれだけ成長するか未知数な人に時間や労力をかけるよりも、確実に伸ばせそうなところに力を割いた方がいいですもんね。

安達:「今年、いろいろな経験を積んでもらえば、2年後、3年後は活躍してくれるかもしれない」と推測することはできますが、今年度の目標に関していえば、この人に時間を使う余裕はないよな……。他の優秀なメンバーと、管理職である自分とで頑張れば、とりあえず目標は達成できそう……。となると、「意欲も能力も低い人には構わない」「放っておく」という選択が、最適解だったりするのです。

真面目な人ほど部下のメンタルを潰してしまう悲劇的理由

――今、お話を伺っていて思ったのですが、そういう「戦力としてカウントしない」認定されてしまった人って、成長する機会を失ったまま、延々とお荷物扱い……なんてことになりませんか?

安達:だいたい、そういう人は社内で「問題児」扱いされていたりしますよね。

 たとえば、知人にシステム開発業の管理職がいるのですが、

 「あの人、そもそも技術者向いてないよ」

 と、いままで何百回聞いたかわからないくらい言っていました。

 「考えるのが嫌いだといってる」
「同じミスを何回もして、しかも直そうととしない」
「勉強しない」
「そもそも開発に興味がない」
「口ばかり達者で、行動しない」

 など、まあ、「それはたしかに困るよなあ」という話が掃いて捨てるほど出てくるのです。

 もちろん、本質的なところで言えば、会社の採用ミスなのでしょうが、管理職にそんなことを言う権利はありません。会社員である以上、「手持ちのカードで勝負する」ことを求められますし、「能力不足の人への教育も管理職の仕事だ」みたいに、建前を言ってきたりするわけです。

――やらなければいけないことがこんなにたくさんあると、新米上司もいっぱいいっぱいになってしまいそうですが……。

安達:そう、ここで、管理職の肩には「チームとして目標を達成しないといけない」と、「意欲・能力が低い人の育成をしなければいけない」というプレッシャーがのしかかります。

 ここで、新米上司が陥りがちなパターンは、大きく分けると2つです。

①「この人に構っていると成果が出せないから、放っておく」と、目標を優先させるパターン

 もしくは、「今年中に成果を出せるように、がんばって育成しよう」と、気合を入れすぎて、部下のメンタルを潰してしまうパターンです。

――ああ、あるあるですね……。

安達:真面目な人ほど「全部きちんとやらなきゃ」と自分を追い込むので、後者のようなトラブルが起こりがちです。「あなたのことを絶対に見捨てないよ」と、がんばって指導しようとするのですが、人間、それほど簡単に成長するわけはありません。初年度でいきなり成果を出せるようになるのはごく稀です。そんな中で、無理やり成果を出させようとすると、部下は徐々に仕事そのものが怖くなり、会社にも来なくなってしまい、目標も達成できず……。みたいなことになるわけです。

頭のいい人が話す前に考えていること安達裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が“本質的でためになる”と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。Twitter:@Books_Apps

――なんだか、胃が痛くなってきました(笑)。管理職、つらすぎませんか!?

安達:だから、上手くいく管理職ほど、「〇〇〇〇でいいよ」と放っておく人が多い気がしますね。仕事には、その人の成長スピードがあります。いつ成熟するのかは人それぞれなのに、その人のレベルをはるかに超えた成果を求めると、結果的に、部下のポテンシャルを潰してしまう恐れもあります。

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〇〇でいい? 上手くいく上司が共通して持っているスタンスとは?

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全国の書店で1位続出!!「今年1位かも」「部下も上司も全員読んで」と大反響。

ぶっ刺さりすぎて声出た。
この本に出会っていない世界線を想像するとゾッとする。

(30代・男性)
「いま、流行りの自己啓発本かぁ」と思って手に取ったことを
反省したくなる程の内容でした。

(50代・男性)

頭のいい人が話す前に考えていること

頭のいい人が話す前に考えていること

頭のいい人が話す前に考えていること

頭のいい人が話す前に考えていること

頭のいい人が話す前に考えていること

本書の内容

第1部 頭のいい人が話す前に考えていること ―「知性」と「信頼」を同時にもたらす7つの黄金法則

 その1 頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間
 その2 頭のよさを決めるのは「だれ」だ?
 その3 なぜ、コンサルは入社1年目でもその道30年の社長にアドバイスできるのか?
 その4 頭のいい人は、論破しない
 その5 「話し方」だけうまくなるな
 その6 知識が「知性」に変わるとき
 その7 承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる

第2部 一気に頭のいい人になれる思考の深め方 ―「知性」と「信頼」を同時にもたらす5つの思考法

 第1章 まずは、バカな話し方をやめる ――客観視」の思考法
 第2章 なぜ、頭のいい人の話はわかりやすいのか? ――「整理」の思考法
 第3章 ちゃんと考える前に、ちゃんと聞こう ――「傾聴」の思考法
 第4章 深く聞く技術と教わる技術 ――「質問」の思考法
 第5章 最後に言葉にしてインパクトを残す ――「言語化」の思考法

頭のいい人が話す前に考えていること頭のいい人が話す前に考えていること』 安達 裕哉 著 定価:1650円
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