給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全ーー成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【成長株の見つけかた】バランスシートの固定資産は、3つに区分されるPhoto: Adobe Stock

固定資産の役割とは?

 固定資産は長期的に事業を支えるための資産です。正確には「営業循環の中で生じる資産ではなく、1年以内に現金化する予定がない資産」です。

 固定資産は、有形固定資産無形固定資産投資その他資産の3つに区分されます。

 有形固定資産はその名の通り、姿かたちが見える資産です。土地、建物、設備、備品などが有形固定資産に区分されます。

 無形固定資産は、姿かたちが見えないけれど、経済的な価値のある資産です。特許権、商標権、借地権などの権利や、のれん、ソフトウェアがこれに区分されます。のれんとソフトウェアは少し難しい項目ですが、後ほど説明します。

 投資その他資産は、このどちらにも入らない資産、たとえば、長期保有目的の有価証券や来年以降の税金を減らすと考えられる繰延税金資産などが、このカテゴリーに入ります。

 物語コーポレーションの事例で、固定資産のところを見てみましょう。

 まず、有形固定資産の中で建物及び構築物が約221億円となっています。この大半は店舗だと思われますが、資産の部の最大の金額となっています。しかも、前の年度(200億円)から大幅に増加しています。積極的に店舗数の拡大をしている様子がうかがえます。

 建設仮勘定というのは、建設途中の建物ということです。建物をたくさん所有する一方で土地は14億円強しか保有していませんし、前年から全く増えていません。土地を買わず、あくまでも借りた土地に店舗を立てて出店している様子がわかります。

 機械装置及び運搬具は食材をカットしたり料理したりする機械や、食材を仕入れて運ぶためのトラックなどと思われます。工具、器具及び備品は、調理器具や店舗の備品などです。

 リース資産も機械や自動車などです。これはリース契約して使用している資産ですが、毎月使用料を支払って最後は会社の資産になり、途中解約すると買い取らなければならないという契約のものです。実質的にローンで買っているのと同じなのでリース資産として資産に計上しているのです。それとセットで、負債には実質的なローンの残高であるリース負債が計上されています。

 ところで、建物及び構築物、機械装置及び運搬具、工具、器具及び備品、リース資産のうしろに(純額)と書いてあります。これは、次に説明する減価償却に関係のある用語です。

(※本稿は『株の投資大全 成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』の一部を抜粋・編集したものです)

小泉秀希(こいずみ・ひでき)
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/