株価の割安・割高を判断する材料として、PBR(株価純資産倍率)もPER(株価収益率)と並んで重要だ。PBRは1倍以上が大原則であり、1倍以下の場合は売られすぎである可能性が高い。そのメカニズムを解説しよう。(経済評論家 塚崎公義)
PBRは「1倍以上が大原則」
といわれるワケ
株価の割安、割高を判断する材料として、PER(株価収益率)と並んで重要なものにPBR(株価純資産倍率)がある。PERについては、前回の拙稿『「PER」って何?実はよく知らない、投資成功率を上げる最重要指標の活用法』をご参照いただきたい。
株価が1株当たり純資産の何倍か、という計算結果がPBRだ。そのため、1倍を上回っているのが自然であろう。
「PBRが1倍以下であれば、企業を解散して資産を全て売却し、負債を返済して残りを株主に分配すればよい」
このような説明がなされることがある。これは、基本的な考え方としては正しい。
PBRが1倍以下なら
投資を前向きに検討しよう
もちろん、実際に企業を解散してしまうと、株主の受取額は非常に小さくなってしまう可能性が高い。資産を売るのは大変だからだ。例えば、新車を購入した翌日に中古車市場で売却すると、買った値段よりはるかに安い値段でしか売れないし、広告用の看板は製作費用が資産として計上されているが、会社が解散するときにはゴミとして処分費用が必要になる。
しかし、株式投資家は、会社が解散することを前提に投資するわけではなく、買った自動車や看板を有効に活用しながら利益を稼ぎ続けるという前提で投資をする。だから、解散価値の話はあくまでも「考え方としては」ということになる。
実際には、自動車は利益を稼ぐために大いに活躍することが期待されているし、看板も製作費以上に利益に貢献することが期待されている。そうでなければ、自動車を買ったり看板を作ったりしないはずだ、と考えることができる。