イトーヨーカドーPhoto:Diamond

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことで、コロナ禍によって大打撃を受けた業界・企業の業績の完全復活に対する期待が高まってきた。上場49社、15業界における月次の業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「月次で明暗!業界天気図」。今回は、2023年6月度の総合スーパー編だ。

イトーヨーカ堂「33店閉鎖」にヨークと合併
激震の中で既存店売上高の実態は?

総合スーパーの主要3社が発表した6月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯イオンリテール(イオン)の既存店売上高
 6月度:前年同月比102.0%(2.0%増)

◯イトーヨーカ堂(セブン&アイホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
 6月度:前年同月比101.1%(1.1%増)

◯ユニー(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
 6月度:同98.0%(2.0%減)

 イオンとイトーヨーカ堂が前年実績を上回った一方、ユニーのみ減収となった。

「イオンとイトーヨーカ堂が勝ち組、ユニーが独り負け」との印象を持ちそうな結果だが、本当にそうだろうか?

 19年以降、小売業界は新型コロナウイルス禍で起きた巣ごもり需要という「追い風」と、行動制限という「逆風」の両方を受けている。そして、翌年にはその反動減や反動増の影響を受けてきたため、「好調・不調」と判断しにくい傾向がある。そのため、コロナ前の実績と比較した「実態値」を確認していくことが重要だ。

 実は、3社の「実態値」を比較・分析すると、意外な実態が見えてきた。

 また、3社の中でも特に最近話題に事欠かないのが、イトーヨーカ堂だろう。親会社であるセブン&アイ・HDは23年3月に、26年2月末までの3年間でイトーヨーカ堂の33店舗を閉鎖する方針を表明。そして6月には、同じくセブン&アイ・HD傘下の食品スーパー、ヨークとイトーヨーカ堂を合併すると発表した。

 セブン&アイ・HDにおけるスーパー事業の再編の渦中にあるイトーヨーカ堂だが、足元の業績はどうなっているのか。