欧州の人々は新たな経済的現実に直面している。それは何十年もの間、経験してこなかったものだ。彼らはより貧しくなりつつある。
市民の購買力が徐々に低下するにつれ、「アール・ド・ビーブル(生活そのものが芸術)」として長らく羨望(せんぼう)の的だった欧州での暮らしは、急速に輝きを失っている。
フランス人が食べるフォアグラは前より減っており、飲む赤ワインも減っている。スペイン人はオリーブオイルを使うのにけちけちしている。フィンランド人はエネルギーが割安な風の強い日にサウナを利用することを奨励されている。ドイツ全土では肉と牛乳の消費が30年ぶりの低水準に落ち込み、かつて盛んだったオーガニック食品の市場は急激に落ち込んでいる。イタリアでは、国民食パスタの値上がり率がインフレ率の2倍超になったことを受けて、アドルフォ・ウルソ経済開発相が5月に危機対応会議を開いた。