2023年度の社会保障給付費
(対GDP比、予算ベース)

上がり続ける社会保険料は少子化対策に逆行、上限設定も検討すべきだ2023年度の社会保障給付費(対GDP比、予算ベース) 出所:内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(2018年5月21日)

 岸田政権の目玉の一つは「異次元の少子化対策」だ。一部先送りとなっていた財源問題に対処すべく、政府は新たな支援金制度の創設を模索している。目的は社会保険料率の上乗せによる財源の捻出だが、子育てを担う現役世代の負担がさらに増えることへの懸念が拭えない。

 健康保険組合連合会によれば、2023年度の健康保険の平均保険料率は9.27%になる見込みだ。厚生年金と介護保険の保険料率を合わせた社会保険料率は30%近くに達し、租税負担も考慮した国民負担率は46.8%となる。

 振り返れば、1988年度の国民負担率は今より約10%も低い37.1%だった。国民負担率が上昇したのは、租税負担よりも社会保険料率の上昇に原因がある。「2人以上の勤労者世帯」(全国平均値)で88年と17年を比較すると、所得税などの直接税の負担は微減したが、社会保険料率の負担は約84%も増加している。