コツコツと業績を伸ばしてきた経営者が直面する「売上の壁」
特に、年間の売上高が2億円から3億円のレベルに達すると、そこでピタッと成長が止まってしまう経営者が多いという。
そんなときに参考になるのが、【発売から18年、2万人以上の経営者に支持されるバイブル】として、待望の新装版が発売された『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』だ。
本稿では、上場経験のある経営者から熱烈な推薦を受けている本書の中から、「なぜ、経営者は伸び悩んでしまうのか」を一部抜粋して紹介する。

業績が伸び悩んでも「乗り越える経営者」と「そこで止まる経営者」の決定的な差とは(前編)Photo: Adobe Stock

営業力のある社長が、会社の成長を止めてしまうワケ

 創業してから順調に業績を伸ばしてきた企業。その成功要因は、大きく分けて2つあります。

 まずは商品力。商品そのものに力がなくては商売そのものが成り立ちません。規模は小さいながらも自力で商品を製造している企業を別とすれば、2億円企業の多くは自らが独自の商品を企画開発しているわけではないと思います。小売業態のように商品そのものを直接仕入れて販売するか、住宅・建築関連のように中間財を仕入れ、それを素材として組み立てるような業態をメインにしていることが多いと思います。このような場合は、仕入れるもの自体の品質は、ナショナルメーカーが生産するものであって、それほど悪いものではありませんから、商品力自体はそこそこ。

 大局的に見れば、2億円企業のボリュームゾーンを構成する企業は、商品力だけで競合他社と差別化を図れているわけではなく、商品力(またはブランド力)にはほとんど差がありません。つまり、成功要因の2つ目である営業力で自社の業績を伸ばしてきた、と考えられると思います。営業として展開してきた木目の細かい手厚いフォローや、ねばり強いアプローチが評価されて実績が積み重なってきたケースがほとんどでしょう。それは優秀な営業マンがいたからこそです。

 そして、2億円企業には優秀な営業マンが1人しかいません。社長であるあなたです。逆説的なのですが、この事実が御社のさらなる成長を止めてしまいます。今日まで会社を支え、業績を伸ばしてきたにもかかわらず、です。

社長が現場に出ると、会社は伸び悩む

 多くの社長が「これから会社を大きくしていくためには、さらに自分が営業を頑張らなくては」と思っていますが、これが一番の間違い。社長が営業を頑張れば頑張るほど、10億円企業の夢は遠ざかってしまうのです。

 10億円企業の設計図には、「社長が営業をする」とは書いてありません。むしろまったく正反対に「社長は営業現場から手を引く」のが基本原則です。

 私の経験上、非常に優秀な営業マンであっても年間売上の上限はだいたい2億円程度です(業種により多少の上下はあります)。
 この数字は営業マンが相当な時間を注ぎ込んで、の結果です。どんなに頑張っても2億円が物理的なキャパシティの限界だと考えてください。

 それ以上を目指そうとした場合、経営者のほとんどが営業マンを雇い入れようと考えます。理想論でいけば、1人当たり2億円×2人=3億円、5人なら10億円……という皮算用です。

 もちろんその通りにはなりません。当たり前の話で、雇い入れた営業マンが社長なみの営業成績を上げることはまず不可能です。平均すれば社長の30%程度しか能力がありませんから、2億円の30%だったら1人当たり6000万円。ですが現実はそれほど甘くはなくて、ほとんど役に立っていない、自分の分すら稼げないでいるケースの方が多いのではないでしょうか。

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ここに紹介したことのほか、『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』では、経営者が企業の成長のために考えるべき「設計図」とは何かをコンパクトに紹介しています。ぜひ参考にしてください。