日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界350万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながら迫りくる世界的インフレの脅威について見ていこう。
インフレは目に見えない税金
かつてコメディアンのヘニー・ヤングマン(1906~1998)はこう言った。
「米国人は強くなっている。
20年前、10ドル相当の食料を運ぶには大人2人が必要だった。
今では5歳児でもできる」
ヤングマンは、米国の若者が力持ちになったと言ったのではない。
米ドルの価値が下がったと言ったのだ。
このジョークは、インフレ、つまり長期的な物価上昇がなぜ避けられないかを浮き彫りにしている。
インフレは、ある通貨を使う人全員が払わなければならない、目に見えない税金といえる。
誰もが気づかないうちに
「税金」を納めている!
誰もが気づかないうちにこの「税金」を納めているのだ。
年々食料品価格は高くなり、住宅や車の維持費も、子どもの教育費も上がっていく。
一方、給料はこうした物価の上昇に見合うだけ増えているだろうか?
そうだという人もいれば、そうではないという人もいるだろう。
いずれにしても、インフレが私たちの生活を脅かし続けるという現実は止まらない。
インフレの影響は短期的には小さいが、長期的にはかなり大きくなる。
図表14にあるように、インフレが年率2%だと、お金の価値(購買力)は35年で半減する。インフレ率が年率5%だと、購買力は14年で半減する。
第1次世界大戦後ドイツでのハイパーインフレ
つまり、物価上昇率が比較的緩やかな水準でも、生活必需品の価格は20~30年ごとに2倍になる。
インフレ率が高ければ、この期間はさらに短縮される。
第1次世界大戦後のドイツのワイマール共和国では、極端なインフレ(ハイパーインフレ)が発生した。
ある期間ではインフレ率が極めて高くなり、1日のうちにものの価格が上がることも珍しくなかった。
5000マルクのコーヒーが、
飲み終える頃には8000マルクに
ジャーナリストのアダム・ファーガソンは著書『ハイパーインフレの悪夢――ドイツ「国家破綻の歴史」は警告する』(黒輪篤嗣+桐谷知未訳、池上彰解説、新潮社)の中で次のように述べている。
「レストランで食事をすると、支払時に注文時より価格が上がっていたという話すらある。5000マルクのコーヒーが、飲み終える頃には8000マルクになっているのだ」
このような状況は稀にしか起こらないものの、このエピソードはインフレ率が極端に上がった場合に生じうる悪影響の実態を克明に描いている。
(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)