CASE1:「男らしいオラオラ系」が
「横暴なモラハラ夫」の馬脚を現した

「なぜもっと周りのアドバイスを聞き入れようとしなかったのか、本当に自分が情けないです」と話す米村麻衣さん(40歳・仮名・会社員)は現在、離婚に向けて準備をしているところです。マッチングアプリで知り合った5歳年下の夫とは、付き合って3カ月目で妊娠していることに気が付き、翌月に入籍をしたといいます。

 当時、麻衣さんは両親を含め、友人たちからも結婚には反対されたとのこと。

「両親の世代はマッチングアプリで知り合った相手と結婚することに理解ができないようでした。友人たちは交際期間が短いことやデキ婚ということに対し、心配だったみたいです」

 20代の頃から結婚願望が強く、子どもは最低でも1人は欲しいと考えていた麻衣さんにとって、「正直な話、恋愛をすること自体が15年ぶりくらいだったので、久しぶりに彼氏ができたうれしさに浮き足立っていました。妊娠に気付いたときも、彼や子どもの将来のことより『これがラストチャンスかも』と自分自身の結婚や出産のことだけしか考えていませんでした」。

 結婚前、麻衣さんが引かれていた理由の一つは「男らしさ」だったといいます。

「夫は私より年下だったにもかかわらず、優柔不断な私をグイグイ引っ張ってくれる、いわゆるオラオラ系。女性が中心の私の職場には、管理職としておとなしい年上の男性が数人しかいなかったので、夫のそんな一面は新鮮で『今どき珍しく昭和っぽい、男らしい人だな』と頼もしく感じていたんです」

 ところが結婚後はその「男らしさ」が裏目に出ることになってしまったのです。麻衣さんいわく、「夫は男らしいのではなく、ただ単に自己中心的で横暴なモラハラ夫でした」。麻衣さんがつわりで苦しんでいるときでも「『オレのメシはどうなってるの? チャーハンでいいからさっさとできない?』などとイライラされたことは何度もあります。平日ならまだしも、休日くらい自分の食べる物は自分で料理してくれても良くないですか?」。

 会社の飲み会で深夜に帰宅した夫に、妊婦の麻衣さんがたたき起こされて家事をするよう迫られたこともあったそうです。「『小腹が空いて眠れないから、ラーメン作ってよ』と、コンビニで買ってきた袋入りのラーメンを手渡されたときは、怒りで震えました」。

 相次ぐ夫のモラハラ言動に、麻衣さんはイラだち、傷つく日々でした。「オレみたいな、いいダンナをつかまえることができて、麻衣はラッキーだったよな」「そんなに頭が悪くてよく仕事が務まってるね(笑)」「子どもができていなかったら、麻衣とは結婚していなかった」といった心ない言葉を平気で投げかける夫に、ついに麻衣さんの堪忍袋の緒が切れたのでした。

「子どもが生まれても夫は変わるどころかモラハラはひどくなる一方。このままこんな生活に耐えなければならないのかと思ったら絶望しかありません。だったら、シングルマザーとして子どもと二人で生きていくほうが、よほど私には幸せだと思いました」

 麻衣さんは正社員として仕事に就き、離婚後の住まいや保育園などの環境を整えるめどが立ったところで夫に離婚を切り出しました。

「入籍して1年もたたないのに別れを切り出された夫は、そのことが意外だったのか『絶対に許さない』『麻衣も子どももオレのものだ』と離婚には反対しています。もちろん私の心は決まっているので、後は穏便に事務的な話し合いを進めるだけなのですが……」