この1月1日、JFEホールディングス傘下のユニバーサル造船と、IHIの造船子会社が経営統合し、ジャパン マリンユナイテッド(JMU)が発足した。その母体の1つになったのが日立造船の旧造船部門だ。産業界でも稀有な“本業の切り離し”を断行し、今では実質的に造船会社ではなくなったが、“都市ゴミの焼却発電システム”を武器に、環境ビジネスの領域で世界に打って出た。古川実会長兼社長に将来展望を聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)
1943年、大阪府生まれ。66年、大阪大学経済学部を卒業後、日立造船に入社。主に経理・財務畑でキャリアを積む。30代で8年間のシンガポール駐在などを経験し、91年に船舶・防衛事業本部管理部長に就任。98年、取締役(理事)。2000年、経営企画部経理・財務グループ長。以降、専務(業務管理統括)、社長補佐を経て、05年に社長に就任。10年から会長職も兼任する。趣味の読書は、ビジネス書が多いものの、最近では百田尚樹のベストセラー小説も愛読する。
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――都合3回の統合時期延期を経て、ようやくジャパン マリンユナイテッド(JMU)が船出した。2002年に日立造船が旧造船部門を切り離して以来の大きな動きだが、現在はどのような思いで“わが子”を見ているのか。
厳しい状況が続くが、JMUは、世界で勝ち残れる造船会社の1つになると確信している。JMUは、旧NKK(現JFEエンジニアリング)の造船部門と日立造船の旧造船部門が母体となり、今年1月からはIHIの造船子会社が加わった。これで、技術者の数は約1000人となり、瀬戸内海など世界最大の海事都市を擁する日本に軸足を置く“造船連合”が誕生した。
ここまで来るのに10年以上かかった。02年に50%だった持ち株比率は、08年にJFEホールディングスの傘下に入ったことで15%になり、今回のJMU発足によって8%になった。今後は、持ち分法適用会社ではなく、投資の対象として関わる。
振り返ってみれば、15%になった時が、最も寂しさというのか郷愁を感じたものだが、今は心から応援している。8%の比率を減らすつもりはないし、増やすつもりもない。JMUには、本当にがんばってほしい。