誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
※本稿は『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【精神科医が教える】<br />やりたいことをやれずにいる人に知ってほしい1つのことPhoto: Adobe Stock

床に崩れ落ちて号泣

「この親不孝者!!」 母は、僕が聞いたこともないような言葉を吐き、僕が見たこともない態度で床に崩れ落ちて号泣した。僕は家を出た。

外はひたすらに暑く、まともに目を開けていられないほどまぶしかった。ことの発端は、一昨日もらった一本の電話だった。

「おめでとうございます。合格です」 そのとき、人はあまりにも嬉しいことがあると、飛び上がることも、声をあげることもできないのだとわかった。

舞台俳優になるのが夢だった

僕は3年前、実家の酒屋を継いだ。しかし、僕はもともと舞台俳優になるのが夢だった。でも、実家に戻ってから、演劇とは一切関係をもたなかった。

ところが、知ってしまったのだ。「劇団シーズンズ」のオーディションがあることを。僕はダメ元で応募した。

なんたることか、1次審査、2次審査、最終審査と、あれよあれよという間に進んでしまった。そして、僕は店を閉めたいと母に告げた。その結果がさっきのザマだ。

ある言葉が目に入った

あてもなく外を歩くのに疲れ、僕は立ち止まってふとTwitter(X)をのぞいた。すると、ある言葉が目に入った。僕はしばらく画面から目を離せなかった。

そのとき母から電話がかかってきた。 「さっきは、ひどいことを言ったわ。アナタの気持ちをちゃんと聞きたい」

蟬しぐれが一段と大きくなった。 「うん、今からすぐ戻るよ」

何かを始めようとすれば、痛みもともなうものよ。
でも、いずれ治まる痛み。
やめる理由にはしなくていい。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。