「自分はダメ」「他人の評価が気になりすぎる」と悩む人に足りない“経験”とは自己肯定感を高めるといっても、自信満々になる必要はない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「周りに比べて、自分はダメだ」「常に他人の目や評価が気になって自信が持てない」。こうした気持ちにさいなまれがちで、自己肯定感の低さに悩む人は少なくありません。自己肯定感を高めるにはどうしたらいいのか。その鍵となるのが「自己効力感」です。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

自己肯定感を高めるといっても、自信満々になる必要はない

 このところ「自己肯定感を高めるにはどうしたらよいか?」という相談が非常に多い。自己肯定感という言葉が流行りすぎているから気になるのは分かるが、それはもがき苦しむ結果として高まってくるものだということを前回は解説した。今回はもう一つ、自己効力感を体得することの大切さについて解説することにしたい。

→参考:「私は自己肯定感が低い」という悩みは、本当に悪いことなのか

 自己肯定感を高めることが大事だと言われると、周囲の自信満々な人を思い浮かべて、「あんな風に自信満々にはなれない」と悲観する人がいる。

 しかし、能力の低い人ほど自信満々に振る舞う傾向があるのは、心理学の世界では常識である。そのことは多くの心理実験によっても実証されている。実際、周囲を見回せば、自分は仕事ができないことに気付かずに、自信満々の発言をする「残念な人」がいるはずだ。

 心理学の実験によれば、能力の低い人は、仕事をする能力が低いだけでなく、自己認知能力も低い、つまり“自分は仕事が十分にできていない”ということに気付く能力も低いことが分かっている。このことを踏まえれば、自信満々に振る舞うことができなくても一向に構わないことが分かるはずだ。