日本はロシアへの追加の制裁措置として、中古車も含めた乗用車の輸出規制を拡大することを決めました。排気量1900ccを超えるガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)などの輸出を禁止するというものです。
たしかにロシアでは日本車は人気で、特に中古車は人気があります。しかし、ロシアは中国製の車を入れ始めています。中国車も性能がかなり向上しているので、日本の輸出規制など痛くもかゆくもありません。
ロシア国民の生活のクオリティーは落ちていないし、困っているとは言えません。
にもかかわらず、多くの人が「ロシアは困っている」と思っている背景には、西側の情報操作があります。アメリカやイギリスはうそをつくのがとてもうまいのです。
ただし、ロシアがこの戦争に敗北し、ウクライナでの占領地域を全部取られるような事態になれば話は別です。それは、核兵器を使ってでも避けようとするロシアのレッドラインでしょう。
しかし、今の状況が続く限り、ロシアの経済力はそれほど弱体化しないと思います。石油も天然ガスも豊富な資源大国なのです。
「政治腐敗大国」同士の
うそつき合戦
――「ウクライナとロシア、それは狐と狸の化かし合いである」と書かれ、ウクライナにも手放しでは褒められないさまざまな問題があることについて言及されています。
世界的な民間社会運動団体トランスペアレンシー・インターナショナルが調査・公表している各国政府の「腐敗認識指数スコア」によると、ウクライナの政治腐敗はロシアに近いレベルです(2022年のデータでは、180カ国中、ロシアは137位、ウクライナは116位)。
戦争をやっているときに、国民には外に出るなと言いながら、ウクライナのオリガルヒ(新興財閥)たちは、こんな状況でも海外に遊びに出かけています。海外からの援助をピンハネして自分のポケットに入れる役人がいます。海外からの援助の4分の1くらいが役人への賄賂に使われているともいわれています。こんなことは日本では考えられません。
「こんな状況でなぜ援助などしなければならないのか」と我々はもっと怒らないといけないでしょう。そのくらいウクライナという国は腐敗しているのです。
加えて、戦争という状況下では、どちらも情報操作、うそつき合戦をやります。ところが、日本人はまるでウクライナが何もかも正しくて、ロシアだけがうそつきだと思い込んでいます。この状況を見ると、日本人はインテリジェンス能力を失っていると思います。「このままいくと国が亡びる」というほどに、これは深刻です。
うそつき合戦の一例を挙げましょう。
昨年10月に貨物車両で大規模な爆発が発生して通行止めになったロシア本土とクリミア半島を結ぶクリミア大橋(ケルチ大橋)ですが、今年7月に再び破壊されました。
1度目の爆破の後、ウクライナはロシア側の攻撃だと主張していましたが、最近になって自分たちがやったと認めました(7月8日、ウクライナのマリャル国防次官が「ロシアの補給を混乱させるためにクリミアの橋に対して最初の攻撃を行った」と通信アプリに投稿した)。今回も無人潜水艇を使って爆破させているので、ウクライナがやった可能性は高い。
ロシアはこれに対して、ウクライナ南部オデッサの軍事関連施設などに報復のミサイル攻撃を行いました。すると今後は、クリミア半島にあるロシア軍の訓練施設で火災が発生しました。これもウクライナがやった可能性があります。
お互いに「お前がやった」と言いながらうそをつき合っている。これが戦時下の情報戦です。「鬼畜米兵を撃退した」と言いながら、実際には負けていた太平洋戦争の日本の大本営と同じです。