北國フィナンシャルホールディングス(FHD)は2022年11月、取り扱う投資信託の購入時手数料をすべて無料化し、投資助言から得るコンサルフィーで収益を上げる体制への転換を明確化した。FHD傘下のFDAlco(FDアルコ)が投資助言業務を引き受け、個人だけでなく、一般事業会社や地域金融機関へのコンサルティング業務も展開する。今、グループ全体でコンサルフィーを収益の柱とする方向へとかじを切る意味とは。FDアルコの今井豊社長と北國銀行執行役員の藪野秀章ライフプラン部長に話を聞いた。(編集部)
購入時手数料からコンサルフィーへ
――北國FHDが投資信託の手数料をノーロード化し、コンサルフィーへとかじを切った理由は何か
今井 大前提にあるのは「顧客本位の業務運営」を実践し、長期的な資産運用を定着させることだ。日本国民の資産形成の重要性が高まるなか、これらの実現のために、これまで各金融機関で行われてきた提案販売のスタイルではなく、お客さまと伴走して共に資産形成を進めていく体制を整備する必要があった。
そこで、北國FHDのお客さまに中立的アドバイスを提供する組織として、2021年5月に現在の前身となるFDアドバイザリーを設立し、同年10月から業務を開始した。23年3月には投資助言会社の「ALCOLAB」と経営統合契約を締結し、6月に発効。現在のFDアルコへ社名変更した。
当社の主な業務は、北國FHDにおける投資助言部門として、個人のお客さまのライフプランを起点とした投資助言業務に加え、一般事業会社や地域金融機関の経営課題の解決等に向けた各種コンサルティング業務を提供することだ。投資助言やコンサルティングを行ったお客さまからいただく手数料(コンサルフィー)が当社の利益の源泉だ。
しかし、北國銀行が投資信託を販売する際に購入時手数料を徴収する商品もあり、コンサルフィーと二重で手数料を徴収してしまう可能性があった。そうした二重徴収を避けるため、北國銀行は22年11月に、取り扱うすべての投資信託のノーロード(購入時手数料無料)化に踏み切り、北國FHDとして、投資助言から得るコンサルフィーで収益を上げる体制への転換を明確にした。要するに、投信の購入時手数料を積み上げる収益体系とは決別したかたちだ。
投信のラインアップも大幅に見直した。お客さまにとって管理コストが安く、ノーロードのインデックスファンドを中心にそろえている。ただ、お客さまに最適なものを中立的に助言していくには、インデックスファンドにとどまらず、幅広い商品を用意している方が望ましい。
そこで、21年10月に北國銀行とSOMPOアセットマネジメントと共同でバランス型公募投信「みどりの架け橋」をつくった。この商品は現在、株と債券の割合が2対8の「安定型」、5対5の「成長型」、8対2の「積極型」の三つの運用スタイルから選ぶことができ、他の類似ファンドより信託報酬が低く設定されている。