銀行・信金・信組 最後の審判 #11Photo:123RF

地方銀行への投資に特化したありあけキャピタルの動向に業界の注目が集まっている。代表は米投資銀行ゴールドマン・サックス・グループで金融セクターのアナリストを長年務めた田中克典氏。異色の地銀投資に勝ち筋はあるのか。特集『銀行・信金・信組 最後の審判』(全16回)の#11は、田中氏の戦略に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

北國、千葉興業、山口、愛媛…
地銀特化ファンドの勝ち筋は?

 銀行株が好調だ。

 日本銀行の次期総裁に経済学者の植田和男氏が起用される見通しとなり、現状の大規模金融緩和が修正されるとの観測から、収益環境の改善が見込める銀行株を見直す動きが広がっている。

 低金利で銀行は長らく利ざやの縮小に苦しみ、PBR(株価純資産倍率)が低い割安株の代表格とされた。これまで市場で無視同然の扱いを受けていた銀行株に、にわかにスポットライトが当たっているのが現状だが、今から1年以上前の2021年12月、投資先を地方銀行に特化して立ち上げられた異色のファンドがあった。それが、ありあけキャピタルだ。

 代表CIO(最高投資責任者)の田中克典氏は、ゴールドマン・サックス証券の銀行アナリストとして、地銀を長年ウオッチし続けた経歴の持ち主。大量保有報告書などで判明した出資先は、北國銀行を傘下に持つ北國フィナンシャルホールディングス(FHD)、千葉興業銀行、山口銀行を傘下に持つ山口フィナンシャルグループ、愛媛銀行である。

 低金利時代、これら地銀への投資にいち早く動いた狙いは何か。次ページで明らかにする。