韓国で長く読まれている勉強の本がある。日雇い労働をしながら4浪の末、ソウル大学に首席で合格した『勉強が一番、簡単でした』(70万部)。韓国では「受験の神」と称され、勉強に携わるもので、その名を知らない人はいない。日雇い労働者からソウル大学首席合格者になるまで、人生の大逆転を成し遂げた、韓国で知らない人はいない奇跡の物語。読後、モチベーションが高まり、勉強したくなる自分に驚くはず。超ロングセラー本『勉強が一番、簡単でした』から、その驚くべき内容を紹介する。

【集中力アップ!】意識を集中させる画期的な方法【精神を捕まえる】Photo: Adobe Stock

教科書から逃げ出しそうな精神を捕まえる

 生まれつき知能指数が200以上もある天才でない以上、人間の頭脳は五十歩百歩だ。いくら勉強ができない人でも、自分が関心を持っている分野については、誰よりも頭の回転が速い場合がよくある。

 重要なのは、集中力だ。もちろん集中して勉強するには、他のことを考えずに、ひたすら勉強だけやろうという姿勢がなくてはならない。だが、思った通りにできないのが人間なので、集中をするために意識的に方法を探すことも大事だろう。

 ここでは私が使った方法を紹介してみよう。

 集中できないときは、文章を読んでも文意がよくわからず、ひどいときは自分がいま何の文章を読んだのかもわからない。このようなときは、いま読んだ文章を改めて頭のなかでぶつぶつとつぶやいてみると、意識を集中させることができる。例を挙げてみよう。以下は教科書に掲載されている文だ。

カントは、人が道徳的に行為するには実践理性が重要な役割を果たすと述べた。実践理性は自ら普遍妥当な道徳法則を立て、これに従って自律的に行為するよう命令するが、こうした行為がすなわち道徳的行為であるとした。カントにとって、道徳的行為は他律によるものではなく、個々人の自律的善意志によって義務づけられたものだ。義務とは、善意志が自律的動機によって選択し、判断したところによって行為することを言う。そのため、カントの倫理学を義務論的倫理学と呼ぶこともある。

 精神を集中して読んでも、どういう意味か理解しがたい文章だ。だから、こうした文を頭のなかが散漫な状態で読んだら、いくら読んでも意味を捉えることができない。

 そんなときは文章から目を離し、1文ずつ暗唱してみよう。5つの文からなるこの段落を1文ずつ覚えて、順々に全体を暗唱してみるのだ。

 暗記することが目的なのではなく、教科書から逃げ出しそうになる精神を捕まえておくためだ。そうすれば精神を文章につなぎとめることができ、さらにこの段落の意味も解明することができる。

 この方法、つまり集中して勉強しようという気持ちはあるが、どうしても気が散ってしまうときに私が使う方法の根本原理はこうだ。

 人間の意識というのは、2つのことを同時に行なうことができない。本を読みながら他のことを考えているとすれば、それは厳密に言うと、意識が他のことに奪われ、本に向いていないということだ。

 だから私は意識から他のことを追い払うために、読んでいる文章を暗唱するのだ。そうやって「この文章を暗唱しよう」と具体的な目標を立てることで、単に「本を読むことに集中しよう」と抽象的に考えるよりも、実際に意識を集中させることができるのだ。

(本原稿は70万部のベストセラー『勉強が一番、簡単でした 読んだら誰でも勉強したくなる勉強法』から一部抜粋したものです)