米鉄鋼大手のUSスチールが買収されれば新たな業界のリーダーが誕生するが、その一方、反トラスト当局や鉄鋼購入企業からは反発が起きるとみられている。ここ数日で、米鉄鋼メーカーのクリーブランド・クリフスが国内有数の鉄鋼企業であるUSスチールの買収を検討していることが明らかになり、自動車フェンダーや食品の缶詰、また電気自動車(EV)用バッテリーなどに使われる鉄鋼の市場集中が加速する可能性が指摘されている。USスチールを巡ってはクリーブランド・クリフスだけではなく、非上場の同族会社である米エスマークも買収を提案。両社のオファーはUSスチールの評価額を70億ドル(約1兆0190億円)以上としている。アナリストらはUSスチールの買収を目指す各企業について、122年の歴史を持つ同社の株価が比較的安いこと、国内最大かつ最新の製鉄所を含む同社の膨大な鉄鋼生産能力に魅力を感じていると指摘。交通やエネルギーインフラ、大規模な製造工場、EVへの投資増加により、今後数年間はより多くの鉄鋼需要が見込まれる背景もある。