値上げラッシュに猛暑が重なり、モノ・サービスの価格に加えて電気代も家計を圧迫している。そんな厳しい夏を乗り切るためのアイデアを数多くご紹介したい。また、「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏は、経営におけるコストダウンに対して厳しい持論を持っており、家計の節約術にも通じる要諦を言い残している。さらに、稲盛氏が買い物に臨む姿勢には「一人の消費者」としても学ぶべきところが多い。併せてご紹介したい。(イトモス研究所所長 小倉健一)
「経営の神様」が説いた原価低減の要諦
家計の節約術にも通じる?
経済的には全く恵まれていない時代に、私は生まれてきたものだと思う。子どもの頃に迎えたバブル景気の恩恵を何一つ実感せぬまま、就職氷河期に就職をする羽目となり、今では逆に人手不足に悩まされていて、給料もずっと上がらない時代が続いたと思ったら、今度は物価高到来だ。
岸田文雄首相は、「賃上げを果たした」と強調しているが、実質賃金は15カ月連続で低下している。国民負担率(2023年度見通し)は、46.8%で、国民負担に財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は、53.9%となる。国民負担率とは、税金と社会保障の負担の国民所得に対する比率だ。つまり、いくら稼いでも半分は国に持っていかれ、これからさらに進む少子高齢化において国民負担がより増えることだけは確実な情勢だ。
給料が上がらない(実質賃金に至っては減っていく)のであれば、家計をコストダウンするしかない。
「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏だが、以下のように家計にも通じるコストダウンの要諦を語っている。
「心血を注ぎ、原価を徹底的に下げる努力を重ねてください。それは、『廊下の蛍光灯を減らそう』『トイレの電気をこまめに切ろう』というような地道な取り組みの連続です」
「日頃からコストダウンには努めていますから、往々にして、『もう無理だ。これ以上、できるはずがない』と考えがちです。そうではありません。『もうダメだと思ったところが始まり』と考え、乾いたタオルをさらに絞るように、徹底的な原価低減に努めていくのです」(稲盛和夫著『繁栄する企業の経営手法』)
では、どうすればコストダウンができるのだろうか。節約法は、世界中のニュースサイトの人気コンテンツのようで、あっと驚くようなアイデアも掲載されている。ここに、いくつか紹介していこう。