
異例の再投票となった
8月の英中銀会合
イングランド銀行(中央銀行)は8月7日、政策金利を4.25%から4.00%へ0.25%引き下げることを決定した。英中銀は2024年8月に利下げを開始しており、今回の利下げは5回目で、利下げ幅は計1.25%ポイントとなる。
今回の利下げ決定は、投票が2回行われるという異例のプロセスによるものだった。1回目の投票では、0.50%の利下げを主張する委員が1名、0.25%の利下げを主張する委員が4名、金利据え置きを主張する委員が4名の1対4対4の結果となった。そこで議長要請により「0.25%利下げ」か「金利据え置き」の二択で決選投票が実施され、0.50%の利下げを主張していたテイラー委員が0.25%利下げに投票し、5対4で0.25%の利下げが決まった。
金利据え置きが決まった前回(6月)会合では、投票委員9名のうち3名が利下げを主張し、6対3での金利据え置きとなった。利下げを主張した3名のうち2名は、ほとんどの会合で実際の決定よりもよりハト派な主張をする委員として知られていたが、前回会合ではラムズデン副総裁も利下げ支持に回り、英中銀は利下げに対して強い姿勢であると市場に印象付けた。
英中銀が利下げを続けるとの見方の背景には英景気の厳しさがある。英国GDPは、昨年(2024年)第3四半期と第4四半期と2期連続で前期比がほぼゼロで終わった。今年の第1四半期に前期比+0.7%と回復の兆しがようやく見られたが、4月と5月の月次GDPはマイナス成長である。
ところが上述したように、今回(8月)会合の利下げは5対4の僅差で決まった。このため市場では、英国での利下げは当面打ち止めとなるとの見通しが広がっている。