子どもから大人まで数学を苦手とする人は非常に多いのではないでしょうか。ましてや高校数学ともなるとほとんどの人が挫折してしまった経験を持っているでしょう。しかし、高校数学の基礎は丁寧に学べば特別難しいものではなく、同時に得た知識は私たちの生活にも大きく役立ちます。そんな高校数学の超入門書として書かれたのが『【フルカラー図解】高校数学の基礎が150分でわかる本』です。本記事でははじめての人から大人の学び直しまで1人で高校数学が学べる本として発刊された本書より内容の一部を抜粋してお届けします。

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ゲームと場合の数

 皆さん、オセロやチェス、将棋で遊んだことはありますか。これらのゲームは奥が深いことで有名ですが、実はこれらは高校数学における「場合の数」がこの奥深さと深く関連しています。

 まずはオセロの盤面としてあり得る状態数が何通りあるかを考えてみましょう。オセロには全部で64個のマスがあり、各マスの状態は

・駒が置かれていない
・白の駒が置かれている
・黒の駒が置かれている

 の3通りがあるので、全部で364通り※3の64乗(およそ1030通り※10の30乗)の盤面が考えられます。実際は下図のようにあり得ない盤面もあるので少し減りますが、それでも1028通り(※10の28乗)程度あると言われています。

図

 それでは、1028通り(※10の28乗)という膨大な数の盤面はどう奥深さと関連しているのでしょうか。もしあり得る盤面が500通りしかなければ、500通りそれぞれについて最善手を記憶すれば基本的には勝てます。

 しかし1028通り(※10の28乗)もある場合、人間は全部の最善手を覚えることができません。これがオセロの戦略的な奥深さとつながっているのです。

 なお、チェスの盤面数は1044(※10の44乗)通り、将棋の盤面数は1071(※10の71乗)通り程度とも言われています。この意味では、3つの中で将棋が最も奥深いゲームであるといえますね。