ルーブル安に歯止めをかけるため、ロシア中央銀行が今週実施した大幅な利上げは、同国の新たな現実に目を向けさせた。ロシア経済はすでに制限速度に達しているということだ。ロシア政府は、ウクライナに駐留する自国軍に十分な物資を供給し、国内企業や市民を戦争から遮断しておくため、自国経済に大量のマネーを注入してきた。この大盤振る舞いのおかげで、需要は拡大し続け、経済制裁が引き金となった昨年の景気後退から立ち直るのに役立った。一方で供給は拡大していない。ロシアの孤立と幅広い労働力不足によって供給が制約される度合いが増している。今週に入り、ルーブル相場は開戦当初以来の安値に下落。戦時下のロシア経済に広がる不均衡が注目を集めた。同国政府高官は、下落の原因が緩和的な金融政策にあると批判。翌日、ロシア中銀は緊急会合を開き、主要政策金利を3.5ポイント引き上げ12%とした。通貨を安定させ、インフレを抑える必要性を理由に挙げた。中銀によると、過去3カ月の物価上昇率は年率7.6%に達している。
ロシアの戦争疲弊経済、成長もう限界
ルーブル安は金融危機の始まりではなく、ロシアの経済見通しが硬直化する兆しとみるエコノミストたち
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