南シナ海の小さな岩礁に乗り上げてさび付いた第2次世界大戦時代の軍艦が、中国と米国の同盟国であるフィリピンの新たな緊張関係の焦点となっている。フィリピンは25年ほど前、セカンド・トーマス礁の名で知られる涙の滴形をした岩礁の領有権を主張するため、この軍艦を座礁させた。船には海兵隊の小規模部隊が駐留を続けている。中国も、領有権争いが激しい南シナ海の大半と同様にセカンド・トーマス礁の領有権を主張しており、座礁させたのは違法行為だと考えている。近年は、中国の海警局や漁民で組織する民兵が同岩礁の周りで強い存在感を示しており、「BRPシエラ・マドレ」と呼ばれるこのぼろぼろの軍艦に物資を補給する船舶を追尾し、その航行を妨害している。