われわれは新冷戦の中にいるのだろうか。そうだとしたら、誰が勝利を収めつつあるのだろうか。米国およびその同盟・友好国と中国・ロシア・イラン枢軸との間で地政学的対立が先鋭化し、その影響に政策立案者たちが頭を悩ませる中、こうした対立の性質についての見方は割れている。新たな冷戦のさなかにあるという意見もあれば、現在の状況は長年続いたソ連との闘争とは大きく異なっているため、冷戦と見なすのはそぐわないとくぎを刺す向きもある。こうした論争は大して重要ではない。第2次冷戦と呼ぶか、世界を舞台にした「ゲーム・オブ・スローンズ」(架空の世界での覇権争いを描いた人気ドラマ)と呼ぶか、地政学的競争の新時代と呼ぶか。現状をどう呼んだとしても、われわれの目標は冷戦時代と同じでなければならない。すなわち、核戦争を引き起こさずに米国流の生活や同盟国の安全を守ることだ。しかし、現在の世界情勢は1948年当時よりも複雑化しており、米中両国の間には米ソ間には決してなかった経済的なつながりがある。現在の争いにわれわれが取り組む際には、こうした複雑さを考慮することが必要になるだろう。レアアースのような資源を巡る競争、先端技術を巡る競争、宇宙での競争、同盟関係の構築、軍事力の投射といったものはすべて、大規模な闘争の一部だ。