ほころびつつある中国の産業政策を模倣する米バイデン政権Photo:Future Publishing/gettyimages

 中国の産業政策の失敗が明らかになった今、米国が中国の経済モデルを模倣しようとしていることは、控えめに言っても皮肉な展開だ。崩壊しつつある中国の電気自動車(EV)バブルを見よ。そこには、政府が構築した産業は政府のせいで破綻しがちだという教訓がある。

 米EV大手テスラは先週、中国での価格を引き下げた。供給が過剰なEV市場で販売台数を伸ばすためだ。テスラと中国国内の他の自動車メーカーは7月、EVの値下げ競争をやめることで合意した。しかしその数日後には、独占禁止法上の政府の懸念を背景に、この合意を破棄した。価格の低下は消費者に恩恵をもたらすかもしれないが、中国の自動車メーカーは赤字を垂れ流し、破綻に向かっている。

 中国では過去10年間、EVを手掛けるスタートアップ企業が大量に誕生した。消費者向けの購入促進策や企業への直接融資といった政府の支援策に後押しされた。自動車メーカー各社は補助金を得るためEVを大量生産した。不動産開発大手の中国恒大集団は、市場を席巻していた不動産事業が破綻し始めたことを受けてEV部門を立ち上げたが、今やそのEV部門も沈没しかけている。