中国経済が減速している。2023年4~6月期の実質GDP(国内総生産)の前年同期比の成長率は6.3%と1~3月期の同4.5%を上回ったが、これは上海市のロックダウンなどで落ち込んだ昨年の4~6月期の反動ゆえである。前期比年率換算では9.1%から3.2%に大きく低下した。消費や投資、輸出は息切れ気味である。5%成長は達成する見込みだが、民営企業への支援なくして本格回復は難しい(大和総研経済調査部長 主席研究員 齋藤尚登)。
上海ロックダウンの反動で成長率加速も
4~6月期の景気回復は期待外れ
中国経済は内憂外患の状況に陥っている。
国家統計局によると、2023年4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比6.3%(以下、断りのない限り、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)となり、1~3月期の4.5%から加速した。
しかし、22年4月~6月期の成長率が上海市ロックダウンの影響などで、わずか0.4%であったことを考えると、反動増は小幅にとどまったと言わざるを得ない。4~6月期の前期比は0.8%(年率換算は3.2%)と、1月~3月の2.2%(同9.1%)から大きく減速した。
厳格な「ゼロコロナ」政策から「ウィズコロナ」政策への転換に伴う経済再開(リオープン)は早くも息切れした格好だ。
23年4~6月期の小売り売り上げは10.7%増となり、1~3月期の5.8%増から加速したが、これは上記の反動によるものである。この影響をならすために21年と比較すると、4~6月期は2.8%増(22年と23年の平均の増加率)にとどまり、1~3月期の4.5%増から減速した。
要因のひとつは、若年層(16~24歳)の高失業率である。23年6月は実に21.3%に達し、過去最高の更新が続いている。
背景には、3年にわたった「ゼロコロナ」政策や、20年秋口からの巨大IT・プラットフォーム企業に対する規制強化、21年夏の学習塾の非営利団体への移行など政策の悪影響により、民営企業を中心に若年層の雇用吸収効果の大きい産業が軒並み不況に陥ったことなどがある。
かつて、中国の若年層は「月光族(毎月の給料を使い尽くす)」と呼ばれ、消費性向が高かったのだが、こうした人々が節約志向を強めているのである。